• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

静岡

選挙用品業者 投票箱など出荷まで短期戦

2017年9月24日 紙面から

◆作業急ピッチ「休日返上も」

製品の投票箱をチェックする向田博社長=藤枝市岡部町岡部で(古池康司撮影)

写真

 二十八日解散、十月十日公示〜同二十二日投開票の見通しの衆院選で、選挙用品を手がける業者も短期間での準備に迫られている。選管や陣営側から注文を受けた社は、急ピッチで準備を進めている。

 アルミ製の投票箱や記載台を製造販売する藤枝市岡部町の向田工業所には、今月二十日時点で、まだ解散前だが三重県内の選管や仲介業者から記載台計三十台の事実上の注文が入った。向田博社長(47)は「予想はしていたが、これから忙しくなる」と気を引き締める。

 静岡県選管によると、投票箱や記載台の耐用年数は長く三十年ほど持つというが、使用する個数が多いので選挙のたびに少しずつ更新するという。同社によるとこれまでの衆院選では、組み立て式の投票箱は最大で百個ほど、時折壊れることもある記載台は二百個ほどの注文があった。従業員六人の同社では、ほかのアルミ製品製造を今月中に済ませ、十月初めから「選挙対応」にする構え。同二十二日投開票となれば、一週間前までには製品を出荷する必要があり、向田社長は「残業や休日出勤をしても、厳しいかもしれない」と話している。

 浜松市内に本社を置く印刷会社では、現職議員側からのポスター作製の問い合わせに追われている。

 営業担当者によると、解散の現実味が帯びてきた三連休明けの今月十九日ごろから、「いつできるか」「作ってほしい」との話が複数舞い込んだ。連休明けを待たずに携帯電話に直接かかってきたケースも。公示が十月十日だと納期は十月頭となり、「かなりタイトで、バタバタ慌ててしまう」と話す。

 ただ仕事のうまみとしては、胸中は複雑だ。

 公選法上、衆院の解散後から公示までは、立候補予定者が一人で写った政治活動用ポスターは掲示できないため、その間は党首らと一緒に写ったものを使うことが多い。しかし今回は時間がなく、「本番の(個人)ポスターしか作れない」と残念そう。また、品質面でも「もうちょっとじっくりやりたいが、お互い準備できず、以前のデータや顔写真を使う可能性もある」と嘆く。衆院選用の作業が立て込み、他の顧客より優先して印刷作業することも念頭に置きつつ、「なるべく早く届けたい」と意気込む。

(古池康司、松本浩司)

主な政党の公約

新聞購読のご案内