滋賀
2017年10月17日 紙面から
今回の衆院選は、選挙権年齢が「十八歳以上」に引き下げられてから二度目の国政選挙となる。昨年の参院選では、十八歳を除き二十歳代前半の投票率は五割に満たず、大学生世代の関心の低さが目立つ結果となった。このため県内の大学では、投票率アップに向けて学生や職員らが啓発活動を展開している。
「政治家の気持ちが分かるわ」。約一万四千人が通う草津市の立命館大びわこ・くさつキャンパス(BKC)。投票方法が書かれたチラシを配っていた学生団体「CUES(キュース)」のメンバーが、ため息交じりにつぶやいた。にぎわいを見せる昼休みの食堂前で、受け取る学生は数人にとどまったからだ。
BKCでは参院選に続いて十九、二十日の二日間、期日前投票所が置かれる。参院選では二百五人が利用した(別に九十三人が不在者投票)が、BKCの近清(ちかきよ)雅彦事務局長は「住民票を実家から移している学生は多くないが、それでも少ない」と嘆く。選挙制度や政治参加の意義を学ぶ「主権者教育」を授業で取り上げる教員もいたというが、キャンパスには理系学部が多く、全学的な取り組みには至っていない。
参院選の抽出調査では、十八歳の投票率こそ五割を超えたが、一九歳以上は年齢を経るごとに低下した。二十三歳からは上昇に転じており、大学に通う世代の「中へこみ」が顕著だ。
キュースの代表で三年の勝谷健士郎さん(21)は、参院選で期日前投票所の立会人を務めた際の光景が忘れられない。他市にある実家に届いたはがきを持ってきたり、開封してはいけない不在者投票書類を開けてしまったりなどの理由で、三〜四時間で十人以上が投票できずに帰っていったという。
「投票する意思はあるのに、もったいない」との問題意識が、今回の活動のきっかけにつながった。団体名の「CUE」は英語で「きっかけ」の意味。「若者と政治をつなぐ、きっかけ作りをしたい」と意気込む。
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他大学でも投票率アップへ向けた取り組みが行われている。二十、二十一日に期日前投票所が置かれる彦根市の県立大では、学生に対し、投票所の存在と注意事項を記載した文書を学内メールで送り、投票を呼び掛けた。同大の広報担当者は「一票の大切さを学ぶ機会にしてほしい」と話す。滋賀大(彦根市)や、びわこ学院大(東近江市)では、投票を呼び掛けるポスターを学内の掲示板に貼っている。
(鈴木啓紀、大橋貴史)