滋賀
2017年10月3日 紙面から
県都・大津市と高島市を含む1区。長く地盤としてきた川端達夫前衆院副議長が引退を表明。選挙区を二期連続で勝ち上がった大岡氏、知名度の高い嘉田氏、護憲勢力の小坂氏が挑む。
大岡氏は、早朝に駅前に立ったり、週末に地域の運動会を回ったりと、地道な活動で支持拡大を図る。直前の出馬表明となった嘉田氏には「知名度があり、出遅れは関係ない」と警戒。一方で「政治を辞めて教育に専念すると言いながら、学長職を途中で投げ出した。有権者はどう評価するのか」と批判する。
政策面では、湖西地域を貫く国道161号整備の進展などをアピールし、「与党」の強みを前面に出す。安倍政権の経済政策アベノミクスが好感された前回選と比べ、「人手不足など中小企業の皆さんには厳しい面も出てきた。良い面、悪い面を説明したい」と謙虚に説明する考えだ。
二期八年の知事経験があり知名度の高い嘉田氏は、民進党を通じて調整を進めていた希望の党の公認は受けず、無所属での立候補となった。二日に出馬表明したばかりで、細かい政策の準備はこれからと急ごしらえな選挙になる。「国会を軽視し、政治を私物化する安倍政権を終わらせる」と訴える。
民進党が実質的な選挙態勢をつくり、「比例は『希望』を呼び掛ける」と明言。森友・加計問題に対する対応で支持率が低下した政権への批判票を取り込みたい考えだ。
小坂氏は、集団的自衛権の行使容認を可能とした安保法や憲法改正反対などで一致した共産党と市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民の会しが」との統一候補となる。共産は公認候補予定者を取り下げ、推薦する。
「私は嘉田さんではなく、大岡さんと戦うつもりでいる」と安倍政権と対決する姿勢を明確にするが、嘉田氏との候補者調整には否定的だ。自民、希望ともに「改憲勢力」に位置付け、護憲を求める層を固めつつ、上積みを狙う方針だ。
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二〇〇九年の総選挙は旧民主党が、一二年と一四年の総選挙は自民党が議席を総取りした県内選挙区。選挙ごとに浮動票が大きく振れてきた県内だが、野党の再編で対決の構図が複雑になりそうだ。各区の立候補予定者の訴えや戦略を追った。