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滋賀

「共闘を勝手に壊すな」 民進の希望合流、市民団体が怒りや困惑

2017年9月30日 紙面から

 民進党が小池百合子東京都知事が率いる新党「希望の党」への合流を決めたことについて、県内で野党共闘を模索してきた市民団体の間で困惑が広がっている。民進を除く野党関係者からは怒りの声が上がり、次期衆院選でも共闘路線を継続するとアピールしている。

 県内では、市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民の会しが」が中心となり、野党共闘を目指して、政党への要望活動や政策提言を続けてきた。民進と希望の合流が報道されてからは、会の中では「勝手に共闘の枠組みを壊すな」といった批判の声が相次いでいるという。

 メンバーの北岡七夏(ななつ)さん(46)は「突然で状況が分からず、誰もがあっけに取られている」。福井雅英代表は「会の目的は立憲主義の回復や安保法の廃止。一度基本に立ち返り、政策目標で一致する政党と足並みをそろえていきたい」と述べた。今後、各党の代表者らと協議を重ねる考えだ。

 野党共闘を呼び掛ける市民団体の枠組みでは「市民の会しが」のほか、1、2区でそれぞれ団体が設立され、3、4区でも準備会が立ち上がっている。「市民の会しが」は、野党共闘を呼び掛ける集会を近江八幡市内で三十日に予定通り開く。

 民進以外の野党も共闘路線の転換に憤る。共産党県委員会の石黒良治委員長は、「市民と他の野党に対する重大な背信行為だ」と非難。「民進が抜けると票数の上では影響は大きいが、安保法廃止と立憲主義の回復という大義の旗を降ろすわけにはいかない」と言う。

 「驚き、あきれ、怒っている。市民への大きな裏切りだ」。社民党県連の小坂淑子代表は、こう切り捨てた。安倍政権打倒は野党の共通認識とはいえ、政策スタンスが必ずしも近くない二党の合流劇に疑問を呈す。「民進が抜けても、共産や市民とともに共闘路線を進めていく」と宣言した。

 民進党県連の今江政彦幹事長は「政党の枠組みが中央で変わりつつあり、現状では先行きが不透明でコメントできない」と話している。

 (衆院選取材班)

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