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連載

<秋に託す> (5)地方創生も粘り強く

2017年10月20日 紙面から

青々と茂ったジネンジョ畑を歩く「鹿伏兎山脈グループ」の人たち=三重県亀山市加太地区で

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 山あいに青々と茂るツルのかたまり。三重県亀山市加太(かぶと)地区の「鹿伏兎山脈(かぶとやまなみ)グループ自然薯(じねんじょ)むかごの会」の畑では、丹精したジネンジョたちが来月の収穫を待つ。

 特産品にしようと十数年前から栽培。会長の松本勇造さん(73)は「気温の寒暖差があって最適。粘りが違うよ」と日焼けした顔をほころばせる。オーナーとして植え付けと収穫をする県内外の人たちは、当初の四十組から六十組ほどに増えた。地元の小学生には無料で体験してもらう。

 でも、会の人たちはほとんど増えず、多くが七十歳を超えた。ドレッシングなどの加工品も作ってみたが、長くは続かなかった。地元の活動として根付いた自負はあるが、大きく広げるのは難しい。

 若者の多くは地元を出て就職する。「隣近所に安心して働ける場所がないと、帰って来ないわな」。政府は地方創生を唱えているらしいが、「一過性の補助金なんかじゃ、変わらん」。

 対症療法でしのげるほど甘くない。人口減少、産業空洞化、一極集中などこの国の病巣はもっと深いはずだ。実感を込めて伝えたい。「国会議員はもっと大きなことやってくれんと」

 写真・佐藤春彦

 文・井本拓志

 =終わり

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