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連載

<秋に託す> (4)活躍、数字で測れない

2017年10月19日 紙面から

男性社員に笑顔で話しかける梶奈津代さん(奥)=愛知県岡崎市の太田油脂で

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 若手社員のアイデアをやんわりと引き出すような柔らかい表情と話しぶり。愛知県岡崎市の食用油製造「太田油脂」で、梶奈津代さん(41)は唯一の女性管理職だ。

 ことし一月、広報やお客様相談室を担当する課長になった。客からの意見の集計、ホームページの改善、頻繁に変わる法令の確認など。「まだ手探りの状態です」と笑いながら、多岐にわたる仕事をこなす。

 「女性活躍」「女性が輝く社会」をうたう政府は、二〇二〇年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度とする目標を掲げる。梶さんも「女性の声をもっと反映したい」と抜てきされたが、本人は「管理職になることだけが活躍とは思いません」。

 以前は商品企画を十年間担当。アレルギーのある子ども用の菓子を何種類も開発した。会社では女性だから意見が通らないということはない。女性でも男性でも一人一人がやりがいを持てる職場は、自然と活性化すると感じてきた。

 育休や産休など女性が働きやすくなる制度が充実すれば、活躍の機会も普通に広がると思う。「こういう政策を取るから、社会はこう良くなるんだと示してほしい」。標語や数字には踊らされない。

 写真・佐藤哲紀

 文・井本拓志

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