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連載

<秋に託す> (2)指先で、現場で、見極め

2017年10月17日 紙面から

街頭演説を聞き、スマートフォンで情報収集する大学生たち=愛知県安城市で

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 友人との会話も情報収集も、スマートフォン一台で事足りる。いわば片手の中だけで世界とつながる。そんな世代が選挙と向き合おうとしている。

 十一日、名古屋学院大の学生たちは安倍晋三首相が来場する愛知県安城市の演説会場にいた。

 「来た!」。スマホのレンズを掲げ、数十メートル先の姿をいち早く捉えた。

 四年の傍嶋(そばじま)勇乃介さん(22)は普段からニュースアプリで政治の話題を追う。「新党の方が勢いがある印象」だったが、初めて生で聞く演説には迫力も感じた。「足を運ばないと、分からないものもある」

 熱弁に耳を傾けつつ、一年の小川凜太朗さん(18)は、手元の画面で「原発ゼロ」を掲げる野党の公約を見ていた。授業でエネルギー政策を学んでおり、「訴えを比べようと思って」。だがこの日、首相含め、原発に触れた人はいなかった。

 終了後、駆け寄ってきた候補者から握手を求められた三年の小川桃子さん(20)は、少しためらいながらも右手を出した。「こうやってつながるんだ」

 伝わった熱、伝わりきらなかった言葉。スマホ世代の若者たちも、もの思う季節を過ごしている。

 写真・今泉慶太

 文・安藤孝憲

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