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<おさらい消費税> (2)使い道

2017年10月14日 紙面から

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 高齢化が進み、年金や医療などの社会保障にかかるお金は増え続けています。この二十年で倍増し、二〇一七年度には一二〇・四兆円となる見通しです。社会保険料と税金でも賄えない分は借金に頼っています。消費税は「借金漬け」の社会保障制度を持続させるための財源で、税率を5%から8%に引き上げた分は借金を減らすためにも使われています。

 日々の買い物で消費税を払っていて気になるのは「支払った税金が無駄なバラマキ政策に使われてはいないか」ということです。一九九九年以降、消費税の税収(地方消費税の1%分を除く)を年金、医療、介護に限って使うことが予算編成のルールで定められてきましたが、バラマキ懸念はぬぐえませんでした。

 そこで政府は消費税の使い道を法律に明記しました。これが一二年に、民主(当時)、自民、公明の三党合意に基づいて行われた「社会保障と税の一体改革」です。子育て支援など少子化対策も使途に加えた上で、消費税法に使い方を記しました。

 その際、税率を5%から10%に段階的に引き上げた時の増収分のうち、五分の一を年金、医療、介護、子育て支援に使い、残りを財政再建に充てることも決めました。ただ、財政再建に税収を回すのは納税者の負担感だけを強めかねません。税金が高くなるのに、社会保障が手厚くなるわけではないからです。

 安倍晋三首相は税率を8%から10%に引き上げる際、財政再建分の一部を教育無償化などに使途変更することを表明しました。一部の子育て世帯の家計負担は軽くなりますが、財政再建は、より遅れます。

 消費税率が8%となっても税収は足りず、借金は増え続けています。国が一六年度に積み上げた借金は約三十兆円。団塊の世代が後期高齢者になる二五年以降は、医療・介護費がさらに膨れる可能性があります。財政が立ちゆかなくなり、将来世代が「重い負担」を強いられる懸念は高まっています。

 (白山泉)

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