• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

連載

<比べてみよう 公約点検> (2)安保・外交

2017年10月13日 紙面から

写真

 安全保障・外交政策に関する公約では、二〇一五年九月に成立した安全保障関連法を巡り、各党の特徴が表れた。安倍晋三首相が北朝鮮問題の対応を衆院選の争点に掲げたことを反映し、朝鮮半島有事を想定した記述や、憲法との整合性を意識した内容が目立つ。

 各党の安保法への立ち位置は「運用」「修正」「廃止」に三分類できる。

 政権与党の自民、公明両党は、同法の運用を積極的に進める立場だ。自民は安保法で新たに可能となった任務のうち、朝鮮半島有事を念頭に、外国で緊急事態が起きた際の「邦人救出」の態勢強化を例示した。救出を妨害する武装集団を排除するため、自衛隊員が武器を使用できる任務だ。

 公明は個別の新任務は明示せず「運用を積み重ね、実績の蓄積を目指す」とした。日本のこころは与党と歩調を合わせた上で、国会の関与強化を主張する。

 希望の党も「運用」の立場。ただ「現行の安保法は憲法にのっとり適切に運用する」と合憲性重視を強調し、安保法を違憲と批判した民進党出身者への配慮も示している。

写真

 立憲民主党、日本維新の会は「修正」を目指す。立憲民主は安保法を「憲法の枠内」で「専守防衛を軸とする」内容につくり変える。安保法成立前の旧周辺事態法の強化を掲げた。同法は朝鮮半島などの日本周辺で有事が起きた際に、自衛隊が米軍に物資提供や捜索救助などの支援を行うための法律だ。離島防衛の体制を強化する領域警備法の制定も目指す。他国を武力で守る集団的自衛権の行使は違憲として認めない。

 維新は、集団的自衛権を行使できる要件を狭めるため「日本を防衛中の同盟国軍に武力攻撃が発生した」場合に限る。安保法は、日本と密接な関係にある他国が武力攻撃を受け、日本の存立が脅かされる危険がある場合に行使を認めている。

 共産、社民両党は安保法廃止を明記した。共産は、海上自衛隊が今年五月以降、北朝鮮の弾道ミサイル発射を警戒中の米軍艦に実施した「平時の米艦防護」や「平時の物資提供」が、国民に非公表で行われたことを問題視。米国と北朝鮮が衝突した場合に「国民が知らないところで日本が戦争の当事国になる」危険性を指摘した。

 社民は、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定撤回や、安保法廃止を強調。自衛隊の予算や活動規模を専守防衛の水準に制限する「平和創造基本法」の制定を目指す。

主な政党の公約

新聞購読のご案内