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長野

若者向け政策、もっと聞かせて “高校生記者”候補者に迫る

2017年10月17日 紙面から

 22日投開票の衆院選で、長野県南信地方の高校生たちが、地元の長野5区に立候補した候補者3人にそれぞれインタビューし、動画を近くインターネットで公開する。高校生の投票率アップにつなげるのが狙い。選挙権が18歳以上に引き下げられて初の衆院選となり、生徒たちは「若者のための政策を中心に分かりやすく聞き取っている。投票に行くきっかけになれば」と期待を込める。

 「(返済の必要がない)給付型の奨学金を受けられる人は限られている。学ぶ気持ちを持つ若者の支援を検討しているか」。長野県飯田市にある新人候補の選挙事務所で、飯田高三年の熊谷星香(せいか)さん(18)が質問を候補者にぶつけた。

 熊谷さんは十代の投票率100%を目指す高校生グループ「飯田下伊那100計画」の一員で、メンバー十一人が事務所を訪れた。グループは、選挙権が十八歳以上に引き下げられた昨年発足した。投票呼びかけのメッセージをネットの会員制交流サイト(SNS)で発信したり、勉強会を開催したりしてきた。

 初の衆院選で若者と政治の距離を縮める取り組みをしようと候補者インタビューを企画。各党の公約などを見比べ、質問を練った。子育てや消費税増税など五つのテーマで質問を重ねた。

 選挙権を得て初めて選挙を迎えた熊谷さんは、政党の離合集散など政局報道ばかりが目立っていたことからインタビューを発案したという。「政策が自分にどう影響するかも理解できなかった。取材の中で投票する人を決めたい」と話す。

 周囲には候補者の名前も知らない同級生もおり「私たちが選挙に行かないと若者向けの政策がなくなると伝えたい」と語った。

 選挙権をまだ持たない飯田風越高三年の神部碧衣(あおい)さん(17)も参加する。憲法九条改正の行方に関心を寄せ、インタビューで「憲法改正に賛成か反対か。理由と合わせて回答をお願いします」と質問を投げ掛け、真剣にメモを取った。

 撮影は地元のケーブルテレビが協力。十七日午後に候補者三人の取材を終え、公平性などの観点で問題ないか早稲田大マニフェスト研究所に監修してもらった上で、100計画のホームページで近く公開する。

 主権者教育に詳しい研究所の中村健事務局長(46)は「政治を学ぶ授業は見られるようになったが、高校生が選挙期間中に自主的に候補者に直接質問するのは非常に珍しい。若者向けの政策を自ら探し、同世代と共有する仕組みまで考えていて意義深い。こうした取り組みが広がれば」と話す。

 (伊勢村優樹)

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