• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

三重

自民、苦闘の3議席

2017年10月23日 紙面から

写真

 安倍晋三首相の突然の解散表明で始まった衆院選は二十二日投開票され、県内は1、4区が自民前職の田村憲久さんと三ツ矢憲生さん、2、3区は無所属前職の中川正春さんと岡田克也さんが当選を確実にした。区割り変更で自民と野党統一候補が激突した2区で、野党側が勝利する共闘の成果が表れた。全国で自民が大勝する中、民進が分裂した今回も、県内は非自民勢力が一定勢力を維持した。2区で敗れた川崎二郎さんは比例復活した。

◆野党勢力、底力を発揮

<解説>

 自民党大勝となった衆院選だが、県内小選挙区は自民が二勝二敗。県民が安倍政権を信任したと言い切れない結果で、民進など野党の底力が発揮された。

 民進分裂で前職三氏が無所属を選ぶ異例の展開となり、三氏は安倍晋三首相による一強政治打倒を掲げた。4区も含め自民候補と、安倍政権を批判する民進系候補の事実上の一騎打ちとなり、安倍政治の是非が争点だったといえる。

 本紙情勢調査では、森友・加計学園問題を巡る首相の政治姿勢や、憲法を重視する県民は、多くが野党候補を支持。選挙中、自民候補からこれらの問題への言及は少なく、県民の政権に対する疑念に答えたとは言い難い。

 一方、民進時代に「安保法制反対」を唱えながら法制容認の希望の党で出馬した各地の候補の打算が、有権者を白けさせた。三重では民進の三氏が無所属で筋を通したことで県民に理解しやすくなった。だが、自民側の「無所属では何の政策も実現できない」という批判も理にかなった。

 情勢調査で北朝鮮問題、年金問題などを重視する有権者は、多くが自民候補を選んだ。自民の政策への支持で、無所属候補らがこうした国政課題に具体策を示せなかったことの裏返しでもある。

 与党の自民田村さん、三ツ矢さんと比例復活した川崎さんは、県民の「二勝二敗」の民意を背負い、安倍政権が白紙委任されたわけでない。九条改憲に反対の県民も多い。首相が森友・加計問題の説明を拒んだり、改憲に突き進んだりすれば、民意を踏まえ党内で慎重議論を求める役回りが期待される。

 無所属当選の岡田さん、中川さんは選挙中「再び自民に対抗する勢力をつくる」と訴えた。野党がばらばらのままなら県民を裏切ることになり「一強」を利すると肝に銘じてほしい。

 (森耕一)

主な政党の公約

新聞購読のご案内