• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

三重

3区ルポ 有権者増え勝利へ挑む

2017年10月19日 紙面から

写真

 選挙区割り変更で四日市市の南部四地区が加わり、有権者六万五千人が増えた3区。県北部は中選挙区時代を含め九回連続議席を守る前職岡田克也さんの金城湯池だ。かつての保守地盤を取り戻したい自民には3区勝利は宿願。初めて無所属で立つ岡田さんに、自民党県連の候補者調整で旧2区から移った前職島田佳和さん、共産新人野村真弘さん、諸派新人坂本麻貴さんが挑む。

 「おはようございます。今回無所属で戦います」。十三日朝、桑名駅で岡田さんが声を張り上げた。通勤、通学者は会釈したり、握手を求めたりする。公示後、同志応援で全国を回り地元入り予定は五日間だけ。「安倍一強政治を止める大事な選挙。暴走にブレーキをかけられるのは皆さんの一票一票」。訴えは熱を帯びる。

 常在戦場で地元活動を重ねた。「選挙前に活動の八割を終えるのが理想。公示後は残りを仕上げる」と陣営幹部。強固な地盤は自治会単位で連綿と組織された後援会が支える。

 一昨年十一月から街頭などで集会を三百回重ね、延べ一万人以上と顔を合わせた。平日は一日十五〜二十の企業や団体を訪問。国政課題がテーマのセミナーも数カ月に一度開き支持拡大を図った。無所属だが「選挙のやり方は変わらない」。推薦を断られた団体もないという。本人不在時は支える地方議員が思いを代弁する。

 十三日夜にいなべ、四日市両市で開いた演説会では「次の総選挙で自民と対決できるよう、必ず野党をもう一度結集する」と力説。公示前に無所属の民進出身候補ら約二十人のネットワークも立ち上げ民進元代表として衆院選後もにらむ。「無所属へのネガティブな反応もない」。十期目へ万全を期す。

    ◇

 「岡田さんの時代じゃないと多くの人に伝えていってほしい」。島田さんは十一日夜、四日市市の演説会で語気を強めた。要職を歴任した岡田さんを意識し「ここは思い切らないと勝てない選挙区だ」と、執念を燃やす。

 二回連続比例復活した旧2区から移り、3区支部長に就いたのは九月一日。本格始動したのはそれ以降で、地元の県議や市議を通じ自民の各地域支部にあいさつ回りをしていた直後の解散となった。

 定数一減のあおりを受けたとして党本部に要請した比例優遇はかなわず。「これも一つの試練。地域のために勝つしかない」。島田さんは自らを奮い立たせるように話した。

 選挙戦は地方議員の組織を生かして臨む。旧2区時代からの支援者をはじめ、若手の企業経営者らが陣営を支える。遺族会や自動車業界をはじめ推薦団体は約二百。「短期間で大勢に名前と顔を覚えてもらう」(陣営幹部)ため、駅前や幹線道路沿いなど一日十カ所程度の街頭に立ち、夜の演説会も連日平均で三カ所程度をこなす。

 演説では北勢地域のインフラ整備の遅れを指摘し、「(岡田さんは)地域のために何もしてこなかった」と批判する。「有権者との接触回数を増やし、目の前を通る人との数秒間で名前を擦り込む」。浸透に余念がない。

    ◇

 野村さんは主婦層が多いスーパーや団地を重点的に回り消費税の増税中止などを訴える。演説でも「富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税に頼らない税制改革を実現する」と繰り返す。

 陣営は電話や選挙はがきで党支持層を固める。支持政党がない層への浸透も図るため新たに四種のボードを作製。「安倍政治にNO」「核兵器禁止条約 参加するなら日本から」などと記し、街頭演説会のたびに選挙カーに掲げる。

    ◇

 坂本さんは消費税5%への減税や憲法九条改正などを掲げ、駅や商業施設の前で演説をして支持拡大を目指している。十六日は所属する政治団体「幸福実現党」の釈量子党首が応援に入り、近鉄四日市駅前で演説した。釈党首は「幸福は唯一、減税を訴えている。安い税金で小さな政府をやらせてほしい」と訴えた。

 (3区取材班)

主な政党の公約

新聞購読のご案内