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三重

2区ルポ 新区割りで地盤攻め合う

2017年10月17日 紙面から

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 鈴鹿、亀山両市と四日市市南部に、選挙区割り変更で旧1区から伊賀、名張両市が加わった2区。文部科学相などを歴任した無所属前職中川正春さんと、厚生労働相などを務めた自民前職川崎二郎さんの一騎打ちが激しさを増す。区割り変更前の各選挙区で当選を重ねたベテラン同士。互いの地盤を攻め合い、若年層や支持政党がない層への浸透を目指ししのぎを削る。

 小選挙区で七回連続当選してきた中川さんは「打倒!!一強政治」を旗印に、幅広い支持獲得を目指す。しかしこれまでの戦いと違って無所属は政見放送ができず、ポスター枚数も制限されるため「法律を見直さないといけない。公平性に欠ける」と指摘する。

 選挙戦序盤は、区割り変更で新しく挑戦する伊賀地域を精力的に回り「仲間に入れてください」と聴衆に訴えた。逆に従来拠点とする鈴鹿市などでは「ここで育てていただいた」と感謝を忘れない。

 報道各社の序盤情勢調査結果で劣勢が報じられ、十三日の四日市市での個人演説会では「地元でどうぞ運動を広げていただき勝たせてください」と頭を下げた。3区の岡田克也さんの個人演説会の応援に駆けつけた際も、「不利な状況にあることを私自身も身に染みて感じている」と焦りを隠さなかった。

 民進党分裂後、安保法反対を貫く立場から希望に行かず無所属を選んだ決断を理解する声は多い。連合三重の吉川秀治会長は「どうしても政策合わないと、信念守り貫く姿勢を評価」と支援。十五日は鈴鹿市で野党候補一本化を橋渡しした市民団体「市民連合みえ」と街頭演説をした。

 ただ、鈴鹿市で影響力が強い自動車総連系の市議は、共産党も支援する態勢に「一部組合員の心中は複雑かも。アレルギー反応を起こす可能性もある」。その上で「それとこれとは別で連合としての動きに追従する。支持をやめることはない」と話し結束を図る。

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 「自衛隊を認めない共産党と組んででも勝とうとする人に負けられない」。川崎さんは十四日夜、鈴鹿市での個人演説会で、北朝鮮情勢への対応などを念頭に、野党各党の支援を受ける中川さんを批判した。「政党による政治を掲げ小選挙区制を進めた人たちの勢力が無所属で出馬している」とも述べ、中川さん側をやゆした。

 一方、前回まで自身の選挙区だった津市などに比べ海岸堤防や中勢バイパスなどの整備が遅れているとして力を入れていくと力説。聴衆の七十代女性は「地域を良くする国政とのパイプ役が必要だと感じた」と話した。

 中選挙区時代以来二十四年ぶりの選挙運動となる鈴鹿市などでは「有権者に十分なあいさつができていない」と危機感を募らせ、街頭演説や企業回りなどに奔走。地盤の伊賀地域も含めた個人演説会では、地域課題を重視する姿勢を示す。亀山市ではリニア中央新幹線の全線開業と停車駅誘致に言及。「東京−大阪間が一時間で結ばれる」と強調し東京一極集中の是正と、選挙区内の活性化につなげる決意を示した。

 新たな大票田の鈴鹿市に拠点を置き本格的に活動を始め二カ月余だが、地元県議や市議、自民支援者らがフル回転。当選十一回の閣僚経験者ということもあり、事務所には商工業や医師、漁業などの団体からの推薦状がびっしりと貼られる。

 序盤情勢で優勢と伝えられたが、自民候補が七連敗中の2区で、引き締めを図る。

 (山本克也、鈴木里奈)

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