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三重

区割りで唯一分断の四日市 市選管、周知に追われる

2017年10月15日 紙面から

 一票の格差是正のため、二十二日投開票の衆院選は新たな選挙区割りで実施される。四日市市は全二十四地区のうち、四地区が旧2区から新3区に編入された。市内でも人口の多い地区が含まれ、有権者約六万五千人が3区へ移る。急な解散で把握していない有権者が混乱する可能性もあり、市選管は周知徹底に追われている。

 四地区は中部、常磐、川島、桜。中でも常磐地区はマンションや一戸建てが立ち並び、市内最多の二万二千六百四人の有権者を抱える。選挙人名簿登録者数(九日現在)で市内の内訳は2区七万二千三百六十二人、3区十八万二千五百八十一人となる。

 中部地区で酒販店を営む森井徹さん(50)=鵜の森=は、今春の報道で区割り変更を知った。「投票まで時間が無い中、新たな候補者の政策を調べ見極めなければ」と頭を悩ませる。桜地区の七十代の女性は「なぜ急に変わってしまったのかが分からない」と困惑する。公示日に選挙ポスターの掲示板を見て「本当に選挙区が変わったと実感した」と話す。

 まだ知らない人もいると予想され、周知策として市選管は今月初旬、全戸配布の広報誌に選挙特集を折り込み、区割り変更図や投票所の一覧表を掲載した。新たに3区になった四地区には特別に啓発チラシも作り、地区内の回覧板に加えた。ただ、中部地区の八鳥洋明・諏訪町第一自治会長(69)は「マンションに住む若い世代は自治会に入っておらず、周知が難しいのでは」と懸念する。

 投票所にも影響が出た。旧2区の中部、塩浜両地区が使っていた旧三浜小学校(現三浜文化会館)の会場を今回廃止。塩浜が新2区、中部が新3区に分かれたため、それぞれ近くの既存投票所に組み込まれた。

 区割り変更で津市の分断が解消されたため、分断が続くのは四日市市だけだ。森智広市長は「行政単位での線引きに配慮してほしい。四日市だけ割を食っている感覚がある」と区割りのあり方そのものに苦言。人口規模や地理的要因から「分断解消が難しいのは理解する」としつつも「今後、区割り改定のたびに市の線引きが変わるのは困る」と話す。

 対応に追われる市選管の担当者は率直に「前回、前々回選と同様に年末の選挙かと思っていた」と苦笑。「選挙があるからこそ変更が注目されるとポジティブに考える。時間は無いが、混乱がないよう全力を尽くしたい」と気を引き締める。

 (大西里奈、曽田晋太郎)

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