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三重

無所属出馬、各陣営の戦略に変化は

2017年10月14日 紙面から

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 「政党の看板は大きかった。選挙区も変わったばかりなのに」−。二十二日投開票の衆院選。公示直前の野党再編のあおりで、県内は最近では例がなく無所属候補が三人もいる状況となった。比例の復活当選がなく、政党公認と比べ選挙運動に制限もある。こうした情勢は選挙区割り変更と併せ無所属候補はもちろん、政党公認候補にも戦略面で影響を与えているようだ。

 県選管によると、テレビなどを通じ主張を訴える政見放送は、政党公認候補しか認められない。公認候補はポスターを所定の掲示板だけでなく、政党分千枚を街頭に張り出すことが可能。はがきやビラ、選挙事務所の数にも違いがある。

 「政党分ポスターと選挙区内の掲示板数はほぼ同じ。特に新しい選挙区でポスターへの期待は大きかった」。ある無所属候補の男性秘書は打ち明けた。別の無所属候補の秘書も「広報物は以前より限りがあるので戦略をよく練らなきゃいけない。演説の数や場所選びも失敗は許されない」と逆境に神経をとがらせる。

 一方、対立陣営にはどう映るのか−。自民党候補の選対メンバーは「野党共闘や関係団体の支援状況を見て、当選しやすいから無所属を選んだのだろう」とみる。比例復活などがないため「相手は物理的に厳しい選挙なのは間違いない。最後は『小選挙区で勝たせてくれ』と情に訴えるはず。相手の土俵には乗らない」と口にした。

 自治体の首長や衆院議員など百人以上の選挙戦略を練り当選させた実績がある選挙PR会社「J・P・I(ジェーピーアイ)」(東京)の田島淳社長は、無所属候補について「はがきは区割り変更で送り先が変わり、枚数も減る中で選択が重要になる。当選後の自身の身の振り方も明確に示さないと有権者に分かりにくく支持は広がりにくい」と指摘する。

 総務省選挙課は「現行の公選法では政党公認候補に幅広い選挙運動を認めている」と説明する。無所属候補が多い県内で、有権者がどんな審判を下すか注目される。

 (鈴鹿雄大)

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