三重
2017年10月11日 紙面から
三重2区は新しい区割りにより、前職同士が未開の票田を抱えての選挙戦になった。
「憲法、平和主義が壊され始めている」
三重県伊賀市で初の選挙戦に臨む無所属前職の中川正春さんが街頭演説で訴えた。かつて文部科学相も務めた民進党の重鎮も、一度は希望の党への合流を表明したが、安保法制の容認を迫られたことに反発して無所属の道を選んだ。
これまで五だった三重県の選挙区は、今回から四と一減。中川さんは鈴鹿、亀山、四日市市の旧2区で七回当選を重ねたが、新2区に加わった伊賀地区(伊賀、名張市)とは縁が薄い。
元々の地盤の旧2区では「無所属で良かった。筋を通した」と声がかかるものの、伊賀地区では演説に耳を傾ける聴衆がまばら。地元の民進県議には「ここでは中川さんは無名。無所属では泡沫(ほうまつ)候補と思われかねない」との不安があるが、中川さんは「安倍政権を止めねば、という思いは通じる」と手を振り続けた。
一方、自民前職の川崎二郎さんにとっては伊賀地区以外が地盤外。第一声を上げた鈴鹿市で「この地域で自民は七連敗。三重の保守を復活したい」と訴えた。
地盤だった旧1区は二つに分断。衆院議員だった祖父、父を含めて三代の地元である伊賀地区は新2区に入ったが、中川さんとは逆に鈴鹿などでは無名だ。それだけに陣営の動きは早く、六月には鈴鹿市に事務所を開設。乗る車を同市に主力工場のあるホンダの小型車に変えて企業を回るなど、精力的に動いた前哨戦から選挙戦本番に突入した。
(衆院選取材班)