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三重

11人いざ出馬

2017年10月9日 紙面から

 衆院選(十日公示、二十二日投開票)が迫り、直前の週末となった七、八両日、県内候補予定者らは、支持を広げようと区割りが変わって初挑戦する地域などを中心にイベント会場や集会を駆け回った。無所属三氏は公示直前では異例の記者会見を開いて結束をアピール。民進党分裂の激震が収まらないまま、十二日間の選挙戦に突入する。 (衆院選取材班)

◆無所属3氏、結束を強調

 無所属出馬の松田直久(1区)、中川正春(2区)、岡田克也(3区)の民進前職三氏は八日に県庁で会見し、「打倒!!一強政治」ののぼり旗を立て「一体で戦う」と表明した。選挙運動が制限され、比例復活もない厳しい戦い。政党に替わる“看板”を掲げ、無所属同士で連携し当選を勝ち取る戦略を描く。

 会見で岡田氏は、無所属出馬の県外の民進出身者とも情報交換や応援で協力し合うネットワークを立ち上げたことを明らかに。民進のシンボルカラー青を使ったのぼり旗を用意し、県内では三人が統一して使うとした。

 岡田氏は、県内の戦いを「この共通の旗の下で選挙戦を戦い抜きたい」と話した。衆院選は、無所属は政見放送ができず、ビラやポスターも政党公認より少ないなどハンディもあるが「無所属で出ることは皆さんご存じで、それだけ関心が深い」と手応えも語った。

 中川氏は比例復活がないことに「背水の陣で思いを込め、皆さんに訴える」と意気込んだ。「国会に戻らせてもらえたら、安倍政権に代わるもう一つの選択肢を作りたい。そのための第一歩だ」と、選挙後の野党再編を目指す考えを強調した。

 松田氏は「個々の戦いなので、甘えることなく戦いたい」と気を引き締める。自民候補の一部が演説で安倍政権を批判していることに対し「安倍政権の五年間で、党内でしっかり言ってほしかった」と指摘した。

◆野田総務相駆けつけ 2区、自民前職川崎氏

 2区の自民前職川崎二郎氏は八日夜、長年地盤としてきた伊賀市内のホテルで事務所開所式を開いた。川崎氏は千人近く(主催者発表)の支持者を前に「(区割り変更で)大変厳しい選挙戦になる。生命線の伊賀市の皆さんにお助け賜りたい」と支援を呼び掛けた。

 川崎氏は厚労相を務めた実績から、社会保障や救急医療の充実を訴え「保守勢力の強い三重をもう一度つくっていかなければならない」と強調した。

 対抗馬となる前職の中川正春氏が、無所属で出馬し共産党などと連携することについて「北朝鮮の問題を抱える中、自衛隊の存在を認めない党に支援をもらう候補者に負けるわけにはいかない」と語気を強めた。

 式には、川崎氏が「女性初の総理に」と期待を寄せる総務相の野田聖子氏(岐阜1区)も駆けつけた。野田氏は川崎氏を「私が総裁選に出ようとした後の苦しい時代を支えてくれた師匠」とたたえ、「自由闊達(かったつ)な新しい自民党を二郎先生と二人三脚でつくっていく」と意気込んだ。

◆無所属「互助会のよう」 3区、自民前職島田氏

 3区の自民前職島田佳和氏は七日夜、公明党の集会に参加し推薦状を受け取った。3区の自民候補が公明推薦を受けるのは初めてといい、島田氏は「自公政権の安定感をアピールできる。力強い支援」と期待を込めた。

 八日は桑名市の商店街の定期市を訪れ、買い物客らに握手して回った。解散後に同商店街を訪れるのは三回目といい、「新たな選挙区なので、多くの人に名前と顔を覚えてもらわないと」と足早に次の会場に向かった。

 その一時間後、十選を目指す無所属の岡田克也氏も定期市を訪問。「今回は無所属で戦います。よろしくお願いします」と呼び掛けた。無所属候補のネットワークを発表した岡田氏の新たな動きに、島田氏は「何をしたいのか分からず選挙互助会のような印象。自分の戦い方は変わらないし、影響もない」と意に介さなかった。

 共産新人の野村真弘氏は七日、駅前や団地で街頭演説した。八日は党の懇談会に出席し、改憲や安保関連法への反対を訴えた。「安倍政権を倒すため、協力をお願いしたい」と参加者に呼び掛けた。

 諸派新人の坂本麻貴氏は駅前で街頭演説を行い、商店街などを回り支持拡大を図った。

◆自民前職田村氏、無所属会見批判 1区

 1区の自民前職田村憲久氏は八日、無所属出馬の三人が会見で無所属候補のネットワーク発足を発表したことについて、取材に「記者会見に値しない」と一蹴した。

 田村氏はさらに「共通公約でもあるなら意味はあるが、互助会なら勝手にやればいい。政策論争できないまま公示日を迎えることになる」と批判した。

 田村氏は八日午前は津、松阪市の運動会などに顔を出し、午後は津まつりの会場を歩いた。日が暮れると松阪市の神社の催しに駆けつけ「虫の音と競うような、素晴らしいコンサートです」と来場者にあいさつした。「バタバタです」と帰路につき、境内で来場者と握手を交わした。

◆広い地域奔走 4区

 4区の自民前職三ツ矢憲生氏と、民進出身で希望の党公認の元職藤田大助氏は七、八両日、支持拡大に動き回った。共産新人谷中三好氏は公示に向け演説内容を練り上げた。

 三ツ矢氏は八日、伊勢市で開かれた伊勢まつりの会場に姿を見せた。来賓として開会式に出席し、市民が出す屋台を一店ずつ回った。「明後日から選挙が始まります。よろしくお願いします」と頭を下げ、にこやかに来場者らと握手を交わした。七日は明和町の戦没者慰霊式に出席。八日は大紀町で公明党との国政報告会も開くなど、面積で県内のほぼ半分の広い4区を奔走した。

 藤田氏は七日夜に大台町での集会に出席。参加者の関心は「希望の党」に集中。同党の小池百合子代表について問われた藤田氏は「小池さんへの女性の期待は高い。私の街頭演説でも以前より女性が手を振ってくれるようになった」などと反応を紹介した。届いたばかりの小池代表のポスターを参加者に手渡し、「PRに力を貸して」と求めた。八日は伊勢まつりで神輿(みこし)を担いだ。

 谷中氏は風邪気味でのどの調子が悪く、両日は体調を整え選挙準備に充てた。取材に「公示日を万全の体調で迎えたい」と話した。

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