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三重

ベテラン激突、激戦必至の2区

2017年10月7日 紙面から

 衆院選(十日公示、二十二日投開票)で、互いに小選挙区で当選を重ねた閣僚経験者の自民前職川崎二郎氏と民進前職中川正春氏が、区割り変更で初対決が濃厚な2区は激戦必至だ。どぶ板選挙で企業回りを続ける川崎氏に、中川氏は退路を断ち「安保法制は憲法違反」などと訴える。

 川崎氏に新区割りは厳しい。長年地盤とした津市と伊賀地区(伊賀市、名張市)からなる旧1区は区割り変更で真っ二つ。三代約百年衆院議員を務めてきた伊賀地区だが、その倍の有権者がいて衆院選で自民が負け続けた鈴鹿市などと一つになった。

 川崎氏は自民内の候補調整が決着する前の六月に鈴鹿市に事務所を開設。強引ともいえる手法が「ベテランなのに」と反発も招いたが、車も鈴鹿に工場を置くホンダの小型車に替え新選挙区の企業回りを始めた。

 鈴鹿市のある企業経営者には先月、自民支持者から「川崎さんがあいさつに行きたい」と電話があった。川崎氏は三人のパート女性に「皆さんの時給が上がるような政策にも取り組みます」などと十分ほど話したという。訪問先では主に、鈴鹿市などでインフラ整備が遅れていると指摘し、与党として北勢バイパスや海岸堤防整備などに力を入れる考えを強調している。

 六日夕、鈴鹿市で開かれた川崎氏の事務所開き集会。建設業関係の男性が目立つ会場には千三百人(主催者発表)が詰め掛けた。川崎氏は、共産党が中川氏支援を決めたことを批判。「自衛隊を違憲という党と組んだ」と声を張り上げ「反共」も訴えの軸に据えることを鮮明にした。

 「無所属で立候補するので私自身の政策を訴えます」。四日朝、四日市市の駅前に立った中川氏は晴れやかな表情だった。

 それまでは激動。希望の党への合流が発表されると、すぐ新党入りを表明。だが、希望は安保法制反対派への「排除」色が濃厚に。法制反対を一緒に訴えた市民らから再考を求める声が相次いだ。同党が安保法制容認を求めると確認した中川氏は無所属を決断した。

 迷いの背景には、かつてない厳しい情勢もある。新2区は七回連続当選を勝ち取ってきた牙城の鈴鹿市、亀山市、四日市市の一部だけでなく、川崎氏の強力な地盤の伊賀地区が加わった。

 七月ごろから本格的に伊賀地区を回り始めたが、ある県議は「中川さんを知る人は少ない。個人として得票は大変で、党に属したほうがその分の票がとれた」と本音を漏らす。

 五日に伊賀市での集会で中川氏は「どうぞ私を仲間に入れていただきたい」と述べ、持論の格差是正や専守防衛の徹底などを訴えた。秘書は「吹っ切れたようで本人も生き生きしている。筋を通したことで好意的な反応も多い」と話し、伊賀地区で名前を売る街頭活動に力を入れる。

 (衆院選取材班)

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