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三重

自民から安倍「NO」 1区・田村氏、政権批判票も狙う

2017年10月6日 朝刊

 元厚生労働相で三重1区の自民前職、田村憲久さんが「森友・加計(かけ)問題の説明が不十分だ」と安倍政権の批判を始めた。この問題に疑問を抱く有権者が多いとみて、「与党内野党」として政権批判票も取り込みたい考え。無所属で出馬する民進前職の松田直久さんも衆院解散を「お友達政治を追及されることを嫌がった」と安倍晋三首相の政治姿勢を攻撃。与野党の立候補予定者がともに政権批判を強める異例の事態になっている。

 「五年政権が続くと、権力集中で国民の目も厳しくなる」。五日朝、津市の国道沿いで演説した田村さん。取材に対し、「安倍政権の是非が唯一の争点。私は安倍さんを全肯定ではないと訴える」と語った。

 松田さんは民進と希望の党の合流が決まった後、希望の「排除」の手法に反発し無所属出馬を決断。野党共闘を進めたい共産が候補擁立を取り下げ「自民」対「反自民」の構図が固まった。松田さんは五日、津駅前での演説後、「公約は安倍政権を終わらせるという一本」と強調した。

 背景には選挙区が一減となり、区割りが変わった三重県ならではの事情もある。田村さんは松阪市を中心とする旧4区で当選を重ねたが、今回は地盤のない津市を含む新1区から出馬。交通量が少ない場所と知らずにつじ立ちをしてしまい、聴衆を求めて移動せざるを得ないことも。

 一方、前回衆院選で、旧1区の比例復活で初当選した松田さんは、県議や市長を務めるなど津市での政治経験が豊富。人口は津市が松阪市より十一万人多く、松田陣営は「津の松田」対「松阪の田村」の戦いになれば「勝機はある」とみていた。陣営幹部は「安倍政権の対応に疑問を持つ自民支持層も狙える。安保法制反対などの主張を曲げず無所属を選んだことに好意的な反応も多い」と話す。

 こうした動きに対抗するため、田村さんも安倍政権への批判だけでなく、石破茂元防衛相の派閥に所属することから「石破内閣を目指している」と断言するようになった。「森友・加計問題は安倍総理が謙虚におわびをしていれば状況は違った。自民党のおごり、緩みを変えていくのが私の役割」と語る。

 (衆院選取材班)

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