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三重

ポスターや書類「民進」どうする 事務所準備進まず

2017年9月30日 紙面から

 民進党が希望の党に合流すると発表し一夜明けた二十九日、民進で出馬予定だった県内の候補予定者の事務所は、ポスター印刷を中止し、支持者に説明するなど対応に追われた。出馬には膨大な作業が必要だが、党名が決まらないため始められないものも多く、陣営は焦りをにじませる。

 すでに希望に公認を求めると明言した2区の中川正春氏はこの日、新たに挑戦する伊賀市の民進支援者らを回り、決断を説明した。鈴鹿市の事務所によると、すでに張ったポスターは「民進党」の部分をラベルで隠す方針。

 希望の党の小池百合子代表は二十九日、「民進議員全員を受け入れることはさらさらない」と発言。秘書は「心配だけど、受け入れてもらえる前提で動くしかない」と話した。

 3区の岡田克也氏は無所属か希望か、揺れ動く。「民進党」と書かれたポスターの印刷は急きょ中止。二十八日以降、事務所には「どの党から出るのか」との電話が相次ぐ。

 県選管は十月五、六日に必要な書類などを点検する事前審査を実施したい考え。岡田氏陣営は政党名を書かなくて良い書類の準備を進めながら、本人の決断を待っている。

 1区の松田直久氏も態度を明言しておらず二十九日の街頭演説を見送った。前原誠司代表と本人の写真入りポスターの印刷も中止。陣営は「希望で出る場合は所属党派証明が必要で、無所属ならビラやはがき枚数が変わる。どちらにせよ事務が大変」と頭を抱える。

 4区の藤田大助氏も「所属する党は決まるまで数日かかると思う」。前原代表と一緒に写ったポスターは完成し、二十九日から張り出す予定だったが、ストップをかけた。陣営は「まだ民進なので張っても問題ないが、すぐに張り替えが必要」と嘆く。

 民進党の街宣車を十月二〜九日に借りる予定だったが、「使っていいものか」と思案中。藤田氏は二十九日も支援者へのあいさつ回りを続け、「とりあえず活動を続けるしかない」と前を向く。

 こうした民進の混迷に、自民の候補予定者は早速攻撃を開始。2区の川崎二郎氏は伊賀市内での報道各社の取材に、民進の動きを「都知事の前にみんなひざまずけという話。一極集中を加速する政権を目指している」と批判。自身は「(比例復活もかなわずに)落選すれば引退する」と明言し、背水の陣で臨む考えを強調した。

◆希望か無所属か、3氏態度示さず

 希望の党か無所属か−。未定の民進党の三氏は二十九日も態度を明らかにしなかった。

 1区の松田直久氏は夜に津市で開いた選対会議に出席したが、集まった支持者に態度は示さなかった。一方で「時間がない」とも述べ、一両日中に最終決断する意向だ。

 会議は非公開で、県議や市議、後援会関係者ら四十人ほどが出席。松田氏が「忌憚(きたん)のない意見を聞かせてほしい」と求めたという。出席者によると、希望の党代表の小池百合子氏に対する抵抗感など厳しい意見も出た。ただ、会場では数回拍手が起こった。

 松田氏は終了後の取材に「(合流は)われわれの都合でやっていること。支えてくれた人たちを置き忘れた形になっている」と、意見を求めた意図を説明。後援会関係者に「どのような形になっても支援する」と伝えられたといい、「いろいろ意見を聞いて最後は自分で決めると伝えた」と明かした。

 3区の岡田克也氏の陣営は同日夜、選挙に向けた打ち合わせを川越町の事務所で開いた。参加した支援者らによると、席上、岡田氏は態度を明言しなかった。

 岡田氏は午後六時半ごろ、事務所入り。事務所には後援会メンバーや地元県議らが結集した。会合終了後の午後九時ごろ、岡田氏は待ち構えた報道陣の問いかけに無言のまま車に乗り込み、去った。出席者によると、岡田氏は「決めた時は自分の言葉で話したい」と伝えており、態度を決めかねているとみられる。

 打ち合わせでは、民進の対応について岡田氏が改めて説明したという。出席者の一人は「岡田さんは民進党の初代代表。民進のすべての議員の処遇が決まるまで、自身のことは決められないのではないか」と推し量った。

 4区の藤田大助氏は取材に、決定までもう少し時間がかかる見通しを示した。

 (衆院選取材班)

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