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石川

その説明 納得できた? 石川2区ルポ

2017年10月17日 紙面から

 後半戦を迎え、熱気を帯びる衆院選。自民党の候補者は突然の解散理由をどう有権者に話しているのか。安全保障関連法の廃止を訴えていた希望の候補者は、希望の公約をどう説明しているのか。小雨の降る十六日、石川2区の主な候補者の演説ぶりを追った。

増税、改憲反対に力点

共産・本田さん

 「市民と野党共闘の勝利で安倍政権を終わらせよう」。共産新人の本田正和さん(68)は、石川県能美市内で計12回街頭に立った。

 計104分間熱弁をふるい、ほぼ全てで9〜10分間かけて消費税増税と憲法改正に反対を唱えた。ダブル選となった市議選の候補者と勝利を誓い合う場面も。

 自民党が憲法9条に自衛隊の明記を掲げることに関して「小松基地を海外派兵の前線基地にしてはならない」と声を上げた。「希望は自公の補完勢力にすぎない」とも批判した。

 演説を聞いた50代の男性会社員は「ぶれない反戦への姿勢は評価したい」と話す半面、「消費増税中止の訴えは助かるが、国の借金を未来に残すわけにもいかない」と困惑していた。 (竹内なぎ)

演説で安保法触れず

希望・柴田さん

 「希望は安保法制容認。柴田さんは昨年の参院選に出て廃止を訴えた。その整合性を聞きたかった」。同県加賀市で希望新人柴田未来(みき)さん(46)の街頭演説を聞いた男性(69)は不満そう。

 柴田さんは、16カ所で計106分間、演説したが、安保法制に一度も触れなかった。取材に「有権者の関心事は傲慢(ごうまん)な安倍政権の打倒で、安保法制でない。質問があれば、いくらでも答える」と答えた。安保法制廃止を唱えたのは、合憲部分だけで同法制を作り直す趣旨だったとし「集団的自衛権行使など違憲部分に反対なのは変わらない。憲法にのっとり運用する希望の公約とも矛盾しない」と強調した。

 演説では「不公平な安倍政権に消費増税の白紙委任状を渡すのか」と繰り返した。 (吉野淳一)

解散への言及わずか

自民・佐々木さん

 街頭と企業内を計9回、計72分の演説。同県白山、野々市両市で多くの人が自民前職の佐々木紀(はじめ)さん(43)の声に耳を傾けた。佐々木さんが「解散の意義」を口にしたのは計1分。北朝鮮問題を挙げ「強固な政治基盤をいただければ交渉も進む」と語った。

 「大義はないよ。みんな森友・加計学園問題隠しだと思ってる」。真剣なまなざしを向けていた男性(70)は言い切る。「解散の意義って説明した? 印象に残らなかったね。もっと説明してほしい」と注文した。

 夜に加賀市の2カ所であった個人演説会で佐々木さんは30分語ったが、解散理由は1分余り。同じような説明だった。演説会後に「外交も経済も大事。あえてその話題を避けているわけではない」と取材に答えた。 (谷大平)

主な政党の公約

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