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石川

立候補者の政策は 1区 

2017年10月15日 紙面から

 衆院選の県内三小選挙区に立った候補者十人に(1)最も訴えたいこと(2)選挙区の最大の課題(3)政権の経済政策アベノミクスの効果が出ているのか−の視点で政策アンケートした。石川1区の三人から紹介する。(上から届け出順)

馳浩さん(56)=自民前職

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(1)→社会保障 全世代型に

 人生百年時代が視野に入ってきた。持続可能な社会保障制度は「全世代型」を想定していかなくてはならない。幼児教育や高等教育の無償化も必要になってくる。財源は消費税増税分を振り当てたい。北朝鮮の脅威は深刻であり、外交と安全保障の両面から日本を守る体制を強化しなければならない。現状は対話がとぎれている。対話を続けるための圧力を国際機関と連携してやるべきだ。この国を守るための転換点に私たちは今、生きている。文科相としての経験を生かし、文化立国、スポーツ立国による国内総生産(GDP)の拡大、雇用創出を果たしていきたい。

(2)→金沢港、駅西で新構想

 北陸新幹線効果の持続拡大や生活に溶け込んだ効果策を実施していく必要がある。新たな金沢都市構想を考えている。金沢への移転で日本海側初の国立美術館となる東京国立近代美術館工芸館を基点に日本の工芸美術を世界発信する。金沢港・駅西総合開発を促進し、金沢港を一級の国際物流拠点、観光交流拠点にしていく。駅西に金沢アリーナを建設してスポーツビジネスを展開していく。都心軸に新交通システムを導入して歩いて暮らせるまち、中心市街地のにぎわい再生、交通弱者のためのバス路線の拡充等をして経済成長につながるコンパクトシティーを目指していく。

(3)→経済指標 多くで効果

 アベノミクス五年間の効果は、名目国内総生産(GDP)過去最高の五十兆円増加、就業者数百八十五万人の増加、企業収益過去最高の二六・五兆円増加など多くの経済指標で示されている。県内はこの効果に加え新幹線効果も働いて、有効求人倍率は全国有数となっており、金沢は全国の地方創生のトップランナーとなって経済回復がなされていると思う。しかし、経済回復の実感が広く国民に行き渡っているわけではない。企業の内部留保が賃金アップに誘導できるように政策をフル動員して、県内の隅々までアベノミクスと新幹線のダブル効果を継続、拡大していく。

黒崎清則さん(69)=共産新人

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(1)→憲法を生かす政治に

 安倍政権を退場させ、新しい日本をつくる。安倍政権は、思想信条の自由を侵害する特定秘密保護法と「共謀罪」法、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法はどれも違憲なのに強行採決した。沖縄の辺野古基地の建設など、民意も踏みにじっている。森友・加計学園の疑惑は「国政の私物化」で、許すことはできない。国民の八割近くが政府の説明に納得していないとの世論調査の結果もある。アベノミクスに基づく税金の使い方、集め方を変え、「1%の大企業、富裕層のためではなく、99%の人のための政治」「憲法を生かした政治」に転換する。

(2)→貧困と格差是正必要

 共産党金沢市議員団の市民アンケートでは六割以上が暮らしの困難を訴えている。最大の要因は消費税8%増税。消費不況を招いて暮らしや地域経済を壊し、急速に貧困と格差が拡大している。子育て支援、子どもの貧困と格差の是正、老老介護と介護負担の軽減は政治が解決すべき喫緊の課題。消費税10%増税は中止し、格差と貧困を解消する「暮らし応援型」の経済改革へ転換する。消費税増税に頼らず社会保障を充実化。八時間働いて普通に暮らせる「働き方改革」、中小企業・農業予算の大幅増額による地域経済と農業の再生に取り組み、所得を増やす。

(3)→実質賃金は減少した

 アベノミクスで株価は二倍に上がり、円安差益や法人税減税で富裕層や大企業は巨額の利益を上げたが、働く人の実質賃金はこの五年間で年額十万円減。消費税増税と社会保障の連続改悪で格差と貧困は拡大した。公共事業による財政出動を経済、景気対策と位置付け、高速道路や巨大港湾、大規模再開発プロジェクトなど新規の大型開発事業に多額の予算を投入し「世界で一番企業が活躍しやすい国」となった。99%の国民のために暮らしを応援する経済民主主義の改革を進める。大規模開発事業のストップ、新規建設を抑制。防災対策として既存施設の維持、更新事業を優先する。

田中美絵子さん(41)=希望元職

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(1)→福祉、教育 充実目指す

 安倍政権を振り返って、私たちの暮らしや職場環境などがいい方向に変わったかどうかを問いたい。予算規模は大きくなるのに福祉と教育費が削減され続け、若者から高齢者まで全世代にとって生きづらく、働きづらい社会になった。経済が成長すれば格差や貧困も解消されるという政策をとってきたことで、豊かな人がより豊かになるだけで貧困層は無視されてきた。企業の内部留保は最大規模となったが、賃金には反映されていない。弱者のための政治を実現するために、福祉や教育の充実、雇用の安定に努めていくことを訴えたい。引き続き、女性特有の問題にも取り組む。

(2)→定住者増やす政策を

 金沢市は観光客が増えるなど交流人口は増加しているが、定住する人は減少傾向にある。交流人口と定住人口の増加を結び付けていく取り組みが重要。例えば、魅力的な職場がある、子育て環境が充実しているなど、U・Iターンを希望する人のニーズに応えられるような政策を国が後押ししていくことが必要だ。企業誘致も積極的に行っていく。金沢でも潜在的な待機児童は多い。「保育園に入れない。入れてほしい」と、かなりの要望を聞いた。幼稚園で二歳以下の子どもを受け入れられるよう、保育所の役割も併せ持つ「認定こども園」を増やすなど対策をしていく。

(3)→副作用の方が大きい

 効果が具体的に実感できる人が果たしてどれだけいるのか疑問に感じる。企業の内部留保は最大となったが賃金に反映されていない。むしろ、実質賃金は下がり、家計消費が下がった。金融資産が一億円以上の市民は二倍になったが、一方で貯蓄がゼロの家庭は約五百万世帯も新たに増えている。予想と比べて効果が感じられないどころか副作用のほうが大きいと思う。今後もアベノミクスが続けばますます格差が広がり、分断社会になる。金融緩和や財政出動よりも民間の活力を引き出すことが重要だ。

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