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石川

立候補者の志を聞く 3区 

2017年10月14日 紙面から

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自民新人 西田(にしだ)昭二(しょうじ)さん(48)

能登に全力恩返し

 「これまで育ててくれた能登に恩返しがしたい」。出馬した決意は、この言葉に尽きる。

 引退を表明した北村茂男前衆院議員の後継として、早い段階から名前が挙がっていたが、「このような重責は、自分には無理だ」と、当初は出馬を固辞。しかし、周囲からの多くの要請に心を動かされた。

 生まれ育った地域の取り組みを全力で応援するのが、自身の政治スタイル。国政は考えていなかったが、先輩から「おまえしかおらん」「頼む」と言われ、「政治家冥利(みょうり)に尽きる話ではないか」と、私情を捨て、公人として出馬を決めた。

 強調するのは「地方の実情を国政に届けること」。自民党が政権を奪われた際には、ほ場整備の予算がカットされた。「地方の厳しい情勢を見ているのか、都会志向ではないかと、地方議員として憤りを感じた」。地方と国の橋渡し役になりたいと意気込む。

 日本海の好漁場「大和堆(たい)」では、北朝鮮漁船が違法操業を繰り返し、能登町のイカ釣り漁業者に深刻な影響を与えている。「一段階も二段階も踏み込んだ強い対応を」という地元の声にも直接耳を傾けた。

 政治の世界に入って二十五年。もともとは教員を志していたが、縁があって同郷出身の故・瓦力元防衛庁長官の秘書見習いを経て秘書に。「世話好きが転じたのではないでしょうか」と笑う。中学から三十代半ばまで相撲大会に出場。選挙戦も相手候補に真っ向勝負で挑む。 (松村真一郎)

 【メモ】▽政治信条、尊敬する政治家 「滅私奉公」。見習い期間を経て秘書を経験し、政治の師と仰ぐ故・瓦力元防衛庁長官の政治信条でもある。公に尽くす政治家の基本姿勢として自然と身に付いた

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希望元職 近藤(こんどう)和也(かずや)さん(43)

零細企業救済急ぐ

 わが子を亡くし、泣きわめく母親。怒り叫ぶ屈強な男性。中学生のころ、中東紛争の悲劇をニュースで目にし、人ごとではないと感じた。アジアの近隣諸国と戦争を経験した日本。「感情の不幸の連鎖を変えなければ」。政治家を志した原点だ。

 学生時代、友人の父親の選挙を手伝い、世襲政治の壁を目の当たりにした。父親の後継者と目される同年代の友人が集会で演台に立つと、支援者らは涙を流して感激していた。

 「中途半端な姿勢では政治家として大成しない」。大学卒業後、野村証券で十年間の期限付きの修業を積むと決めた。「営業成績トップ」というノルマを課し、仕事に没頭。有言実行した上で民主党の公募に応募し、ちょうど十年で夢だった政治の道へ進んだ。政権交代を望む世論の追い風もあり、初当選を果たした。

 だが、民主党政権は三年余りで崩壊。五年に及ぶ浪人生活が続いた。能登各地をくまなく回り、一カ月当たり百五十回の街頭演説を続けた。「暑い日も寒い日も、人や会社の気配も、皮膚で感じてきた」と自負している。

 行き過ぎた金融政策の是正が喫緊の課題と訴える。「マイナス金利で地方の金融機関は悲鳴を上げ、中小零細企業にしわ寄せが及ぶ前夜だ」。現場を知る金融のプロだからこそ、先送りは許されないと感じている。

 「とにかく早く国会で仕事がしたい」。選挙の勝利はあくまで第一歩と位置付ける。

  (武藤周吉)

 【メモ】▽政治信条 「和」。和を似て貴しとなす。自分の主張を話す前に相手の言い分をよく聞き、我慢する。決して押しつけない▽尊敬する政治家 伊藤博文。近代日本の諸制度を整えた功労者

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共産新人 鈴木(すずき)宏太(こうた)さん(36)

過疎地の生活守る

 「いじめや差別をなくしたい。誰も望んでいないのになぜ起こるのか」。子供のころに感じた疑問が政治家を志した原点にある。

 全日本民主医療機関連合会(民医連)に就職後、医療の仕事を志す学生と訪れた輪島市大沢町で、過疎地に暮らす人の思いに耳を傾けた。

 近くに学校やスーパーはない。病院、診療所へ行くにも一時間はかかる。それでも、「住み続けている土地を離れたくない」と聞いた。「その願いをかなえることこそが生活を支えることだ」と心に刻んだ。

 静岡市出身。高校三年の時、母の市議選立候補に、家族会議で反対した。「政治家は信用できない人だと思っていた。母親がそういう人になるのは我慢できない」と。最後は「国民にうそをつかない、ガラス張りの政治をするなら」と自分を納得させた。

 地方と大都市の間にある差。「最低賃金や若い人の就職の場。特定の地域の人に不利益のないように」。二〇一一年に県議選輪島市選挙区から立候補した時。高校生が部活動の時間を犠牲にせざるを得ない現実を目の当たりにした。「高校生らしい生活を送ってほしい」と強く思った。

 小学生のころ、「水槽の魚を見ている鈴木君の目は輝いているね」と教育実習の先生が書いた。小さな生き物を大事にする。自然を守る。能登の暮らしに重なる。「住んでいる人たちの声を政治に生かす。能登切り捨ての政治はしない」と誓いを立て、戦いに臨んでいる。 (小塚泉)

 【メモ】▽政治信条 国民の声を聞いて反映させる政治。「信頼を受けない政治は意味がない」▽尊敬する政治家 共産党比例北陸信越ブロックの藤野保史さん。「演説が分かりやすく国会で活躍される方と思った」

主な政党の公約

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