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石川

大切なこと説明してますか 石川1区ルポ

2017年10月13日 紙面から

 衆院選に立った自民党の候補者は、安倍晋三首相が説明責任を果たしていないとの批判がくすぶる森友・加計(かけ)学園問題をどう説明しているのか。改憲や安全保障関連法に反対していた民進党から希望の党に移った候補者は、憲法改正論議を進める希望の公約との関係をどう説明しているのか。雨が降る中、12日に繰り広げられた石川1区の街頭演説や個人演説会を追い、候補者たちの声をルポした。

森友・加計 本質話さず

自民・馳さん 

 自民前職の馳浩さん(56)は支持者らが集まる四回の個人演説会で森友・加計問題そのものに言及しなかった。八十カ所で街頭演説したが、取材できた六十六カ所で触れなかった。

 「売り言葉に買い言葉と受け止められるようなことは控えた方がいい」。最後の演説会では、安倍晋三首相が「私や妻が関係していたなら、首相も国会議員も辞める」と答えた姿勢を問題視した。

 主な訴えは対北朝鮮政策、消費税増税による教育負担軽減、非正規社員の処遇改善。陣営は「街頭演説は一カ所で二〜三分。話す内容には優先順位がある」と説明する。演説を聞いた女性(44)は「問題がうやむやになるのは良くない。安倍さんが説明するのが一番」と求めた。 (並木智子)

自民、希望 双方を批判

共産・黒崎さん

 「安倍政権の暴走を止め、今こそ新しい国をつくる時だ」。共産新人の黒崎清則さん(69)はスーパーなど十六カ所で街頭演説。政権の安全保障関連法の強行採決や北朝鮮への強硬姿勢を繰り返し批判した。

 森友・加計問題は「全く説明されていないまま。国政の私物化だ」と断じた。

 希望には「中身は自民と同じ。希望も未来もない」と非難。「1区で改憲、戦争法(安保法)、原発に反対しているのは共産党だけ」と強調した。

 金沢市大桑町で演説に耳を傾けていた女性(70)は「昨年の参院選で野党統一候補を応援したが、この候補が今回希望から出てがっかり。反戦の主張を続ける共産党に期待する」と話した。 (太田理英子)

憲法、安全保障 触れず

希望・田中さん

 希望元職の田中美絵子さん(41)は七回の街頭演説をしたが、憲法や安全保障の問題に触れなかった。

 希望に公認される前の取材には「憲法九条は世界に誇れるものだ」と話していた。同時に「時代に合わせて変えるべきところは変えることも必要」とも。

 「短い時間で訴えたいのは福祉や教育。街頭で憲法などは話していない」。十二日に街頭演説の合間に取材すると、田中さんは答えた。「憲法を巡る党公約との考え方の違いにどう向き合うのか」という問いかけには明確に語らなかった。

 憲法問題を尋ねた本紙のアンケートには「自民党の草案には反対。改正について国民が幅広く議論することには意義がある」と答えている。 (蓮野亜耶)

主な政党の公約

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