石川
2017年10月11日 紙面から
十日公示された衆院選。北村茂男元環境副大臣の引退で石川県内では最激戦が予想される石川3区では、自民新人の西田昭二さん(48)、希望元職の近藤和也さん(43)、共産新人の鈴木宏太さん(36)の三人が十二日間の舌戦に突入した。少子高齢化が急速な能登の未来に向けて、それぞれが強調したことは何か。第一声とこの日の中盤、終盤の街頭演説を分析した。=上から届け出順
知名度の向上を図りたい西田さんは「能登を思う気持ちは誰にも負けない。身命を賭して、能登のために頑張りたい」と、故郷の声を国に届けたいという思いなど、約六割をあいさつに費やした。急な出馬の理由にも多くを割いた。
中能登町では、イノシシ被害や耕作放棄地の問題を挙げ「課題を県や国に訴えるためには、政権与党として議席を獲得することが必要不可欠だ」と、地域に目を向けてきた元県議の立場から支持を訴えた。
交流人口拡大やインフラ整備を推進する姿勢を見せたものの、自民党が解散理由に挙げる消費税増税の使い道や北朝鮮対応など国政問題には言及しなかった。選挙カーでの訴えを優先したため、街頭演説の時間は短めだった。
近藤さんが最も重きを置いたのは「国政への疑問」で全体の四割近くに及んだ。地域をくまなく回った経験から「地方が軽んじられている」と主張。「能登を『だら』にするんじゃない。故郷を守る政治が必要だ」と政治の転換を訴えた。
具体的な課題として挙げたのが「地方経済の現状」だ。野村証券元社員の経歴から「金融のプロ」を自任する近藤さん。マイナス金利や法人税減税などのアベノミクスを批判し、中小零細企業を締め付けかねないと指摘した。
「人口減少対策」では、都市部の待機児童問題だけでなく、地方の子育て支援に目を向けるべきだと語った。希望の党への合流を巡る経緯はわずかに触れただけ。政党より個人名で支持を訴えた。
鈴木さんはJR七尾駅での第一声や午後一番の羽咋市での出発式、日が暮れた七尾市の住宅街での演説で一貫して「安倍暴走政治を続けさせていいのかどうかが問われる選挙」と切り出した。憲法九条を守るには「市民と野党の共闘しかない」と政権打倒の訴えにほぼ半分の割合を費やした。
希望の党には「憲法違反の安保法制容認、憲法改正の立場であり、野党四党の合意とは正反対の立場だ」と対決姿勢を鮮明にして批判した。
消費税増税に反対し「大企業や富裕層に応分の負担をしてもらう」。一次産業の基幹産業としての位置付けや医療・介護の充実と生活を守る思いを述べ、志賀原発廃炉を訴え「再生可能エネルギーに切り替える」と具体的に示した。