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岐阜

保守王国、戦い三様 4区ルポ

2017年10月13日 紙面から

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 「保守王国」岐阜県の一角、岐阜4区は大物議員の引退や突然の衆院解散、新党誕生で戦いの構図が一変した。民進から希望に移った前職今井雅人さん、自民一家「3代目」の新人金子俊平さん、野党共闘の破綻で共産が急きょ擁立した新人籠山(こみやま)恵美子さんの三つどもえ。本州で2番目に広い選挙区を走り回る。

 今井さんは民主、日本維新の会、維新の党、民進と渡り歩き、希望は五つめの所属政党だ。「党は変わったが、われわれは今井党でいく」と選対幹部。出身地である下呂市の事務所に、小池百合子代表のポスターは一枚だけ。「地方で政党色を出しても駄目。足を引っ張られないように」と幹部は慎重な言い回しだ。

 十日の公示日に可児市で開いた出陣式でも希望の党名は出さず、民進時代に安倍政権の森友・加計(かけ)学園問題を追及した実績を強調。「一部に便宜を図る政治はいけない。政治の私物化は許せない」と「お友達政治」を批判した。

 矛先は「世襲政治」にも。金子さんの地元の高山市で「政治は特定の人のものではない。相手も代が替わり、いろんなことが変わるチャンス。選挙区で絶対に勝つ」と述べた。

 一方、金子陣営は国土交通相などを歴任した父、一義さんが九月二十七日に引退を表明。俊平さんが後継者として自民公認を得たのは今月三日だった。公示日は、今井さんが地盤とする可児市から遊説を始めた。父が見守る中、鉢巻き姿で「短い準備期間だが、スタートラインに立てた」。その日のうちに選挙区最北端の飛騨市まで約百四十キロを駆け抜けた。

 父の秘書を十年以上務めたが「知名度はまだまだ」と選対幹部。祖父の代から約六十年続く後援会も受け継いだが、大票田の可児、美濃加茂市などではほとんど知られていない。

 十一日夜に高山市で開いた集会には農業関係者や飛騨地域の自治体首長を集め、組織固めに精力を傾ける。金子さんは「地域のために尽くしてきた父から引き継ぐのは大きなことだが、まずは一個人として見てほしい」と強調してきた。

 共産は今井さんとの野党共闘を模索したが、今井さんの希望入りで今月四日に籠山さんの擁立を決めた。籠山さんは十二日、高山、郡上市などを回り「アベノミクスで暮らしが良くなった実感はない。長時間労働やサービス残業で若い人の労働環境はすさんでいる。こうした状況を変え、若い人たちの未来への展望を開かせたい」と訴えた。

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