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岐阜

全選挙区の構図固まる 

2017年10月8日 紙面から

 三連休が過ぎれば、いよいよ戦いの時。十日公示の衆院選を目前にした七日、岐阜1区で共産党から挑む予定だった新人の山越徹氏(47)が、無所属で出る新人の吉田里江氏(51)を支える形で小選挙区からの出馬を取りやめ、五選挙区の構図がようやく固まった。解散からここまでの動きを踏まえ、各区の選挙戦を展望する。

■1区 

 「市民の声に応えるという立場に立てば、意義のある辞退だ」。1区での出馬を取り下げた山越氏は、岐阜市内での会見で力を込めた。比例単独候補となり、小選挙区は吉田氏を支援する。ただ、公示三日前の決定に「もっと早く決まれば」と本音も漏らした。

 野党の候補一本化を目指してきた共産党県委員会側に、吉田氏から連絡があったのは六日昼すぎ。「立憲主義の回復」などの政策や「衆院選後も希望の党には入党しない」などの合意を交わし、共産の吉田氏支援が決まった。

 共産党中央委員会は、希望の党の公認を外れた元民進党の候補を推す場合、前職に限るとの原則を示している。県委員会の松岡清委員長は「絶対的条件ではない。市民と野党の共闘が実現できなければ、有権者の期待に応えられない」と強調した。

 吉田氏は「まさか候補の取り下げがあるとは思わず、驚いた。判断に敬意を表する。大きな反自民の受け皿ができたので、しっかり勢いをつけて戦う」と決意を語った。

 前回、吉田氏を大差で退けた自民党前職の野田聖子氏(57)の陣営は警戒感を隠さない。選対幹部は「共産票は吉田氏に乗るだろう」と引き締めを図った。選挙戦で、総務相を務める野田氏の地元入りは限られそう。抜群の知名度、強固な後援会組織を武器に臨む。

 1区では他に、諸派新人の野原典子氏(60)、無所属新人の服部泰輔氏(36)が出馬を予定している。

■2区 

 八選を目指す自民前職の棚橋泰文氏(54)と、共産新人の森桜房義氏(60)が立候補を予定。希望の党などからの擁立の可能性は低く、前回と同じ一騎打ちの構図が濃厚となった。

 二〇一二年、一四年は十万票以上を獲得した棚橋氏は、解散した日に大垣入り。企業やイベント会場などを回ってきた。派閥の要職にあるだけに、陣営は本人不在の日が多い選挙戦を見越して準備する。

 三度目の挑戦となる森桜氏は、大垣駅前や西濃各地の商業施設付近などで地道に街頭演説を重ねた。民進党など他の野党の支持者への浸透を図る。

■3区 

 一四年の前回選を得票率52%、十万七千票で制した自民前職の武藤容治氏(61)と、希望元職の阪口直人氏(54)、共産新人の井上諭氏(49)の三つどもえの戦いになった。

 経済産業副大臣の武藤氏は、公務の合間を縫って選挙区内をくまなく回り、小規模の国政報告会を開催。安倍政権の継続を訴える。

 九月上旬に三重県から国替えした阪口氏は、知名度の向上が課題。街頭演説を中心に、十月以降は民進系県議や連合岐阜の協力も得て、企業も回る。

 井上氏は憲法改正阻止や改正安保法廃止を主張し、リベラルな無党派層に支持を訴える。前回選で同党候補が獲得した二万票からの上乗せを狙う。

■4区 

 引退した金子一義元国土交通相(74)の長男で自民新人の俊平氏(39)と、民進から希望に合流した前職の今井雅人氏(55)、共産新人の籠山(こみやま)恵美子氏(62)による激戦となりそうだ。

 金子氏は、祖父の一平元蔵相の代から続く後援会を中心に組織固め。三日の公認決定後は、票田の可茂地区の企業や首長らを行脚した。藤井孝男元運輸相(74)も支援に回る。

 可茂地区を主な地盤とする今井氏は過去三度、一義氏に敗れた。維新から出た前回は二万四千票差。野党共闘の崩れた今回、高山市や郡上市などでの街頭活動にも力を入れ、無党派層の獲得を狙う。

 元飛騨市議で四日に出馬表明したばかりの籠山氏は、護憲派などの取り込みを急ぐ。

■5区 

 十選を狙う自民前職の古屋圭司氏(64)と民進から移った希望元職の阿知波吉信氏(54)、共産新人の小関祥子氏(64)が出馬。それぞれ東西に並ぶ五市をくまなく回り、リニア沿線の将来像などについて論戦を展開する。一四年の前回選挙で九万票余を得た古屋氏は、企業や支持団体へのあいさつ回りに注力。経済をはじめ政策の継続を訴える。

 五度目の出馬となる阿知波氏は、前回選挙で五万三千票余。〇九年以来の勝利に向けて目標を「十万票前後」と定め、駅前などでアピールを重ねてきた。

 国政初挑戦の小関氏も街頭演説、ミニ集会を重ね、市議を務めていた土岐市を中心に支持の拡大を目指す。

 (衆院選取材班)

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