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福井

小選挙区、自民7回連続独占 

2017年10月23日 紙面から

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 県内の二選挙区では、1区は自民前職で元防衛相の稲田朋美さん(58)が五選、2区は自民前職で元復興相の高木毅さん(61)が七選を果たし、自民が七回連続で議席を独占した。2区で次点だった希望元職の斉木武志さん(43)も、比例で復活当選を果たした。

 県内小選挙区の投票率は55・92%で、二〇一四年十二月の前回を5・92ポイント上回ったが、戦後二番目の低さだった。当日有権者数は六十五万三千二百三十四人。

 稲田さんは約十一万七千票を獲得。得票率は57・3%で、次点の希望新人で元県議の鈴木宏治さん(43)に五万三千票差をつけた。七月末に防衛相辞任に追い込まれイメージが深く傷ついた中、こまめに有権者と接して支持回復を図った。鈴木さんは準備不足に加え、過去に旧民主党を離党した経緯も尾を引き、反自民勢力の受け皿になれなかった。

 2区の高木さんは八万票余りを得た。得票率は54・2%。復興相時代に政治資金問題や過去の疑惑が報じられたが、北陸新幹線や原発などの地域課題に取り組むと訴え、支持を集めた。

 昨年六月に出馬表明した斉木さんは民進党県連の支援を受けて善戦したものの、選挙区では及ばなかったが、高木さんとの惜敗率が68・6%となり、希望の比例代表枠に滑り込んだ。

 共産党は、新人で党県書記長の金元幸枝さん(59)が1区で前回より上積み。新人で元おおい町議の猿橋巧さん(63)は2区で支持を広げられなかった。

◆比例北信越ブロック 当選者続々決まる

 八党派から五十六人が立候補した比例代表北陸信越ブロック(定数一一)で、比例単独で出馬した自民前職で党県連会長の山本拓さん(65)が八選を決めたほか、2区と重複立候補していた希望元職の斉木武志さん(43)が二回目の当選を果たした。山本さんのほかに、自民前職で元県連事務局長の助田重義さん(57)も比例単独で立候補している。

 二〇一四年の前回衆院選での獲得議席数は、自民が五、民主が三、維新の党、公明、共産がそれぞれ一だった。

 (松尾博史)

◆説明責任、終わっていない

<解説>

 県内の二小選挙区は自民党の議席独占となった。1区の稲田朋美さんは自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)問題による防衛相辞任、2区の高木毅さんは政治資金問題や過去の疑惑報道など懸念材料を抱えていた。対抗する野党が一つにまとまりきれなかった「敵失」も自民が圧勝した一因といえる。

 自民のライバルとなった新党「希望の党」は、1区に“一本釣り”した鈴木宏治さんを擁立。希望への合流に伴い、県議の野田富久さんを公認申請していた民進党県連の意向は無視された。

 鈴木さんは、旧民主党を飛び出した過去もある人物。民進党県連の全面支援は2区の斉木武志さんだけに向けられた。二人の希望候補の得票率に差が出た理由の一つだろう。

 また希望の党は安保関連法を容認するなど、自民に近い「保守」。共産、社民は希望を軸にした野党共闘には否定的で、昨夏の参院選のように自民対野党統一候補の構図に持ち込めなかった。全国屈指の強さを誇る自民に、野党が勝てる要素はなかった。

 稲田さん、高木さんには再び県民の期待を託された形だが、選挙前の失言や疑惑に対する有権者の不信が完全に解消したとは言い切れない。世論調査では安倍政権への不支持率は、支持率を上回る。国会での行動と民意にねじれが生じないためにも、選挙戦と同様に多くの県民と接し、声を集めることが欠かせない。

 (尾嶋隆宏)

主な政党の公約

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