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福井

<演説から>(下) 2区

2017年10月20日 紙面から

 (上から届け出順)

◆新幹線軸に地方活性化 高木毅さん(61)=自前

 「厳しい選挙だが、多くの方に支えてもらってありがたい」。古里、敦賀市での演説会冒頭。詰め掛けた顔触れを見渡し、言葉を詰まらせながら感謝した。

 スローガンの「日本を守る 福井を進める」に込めた思いは、地方の活性化だ。「若い人が魅力的な仕事に就いて、子育てできる環境に」と訴える。「農業、漁業、林業、地場産業を育てて、立っていける地域をつくらなければいけない」

 北陸新幹線の敦賀以西ルートの早期着工も具体策の一つ。国が想定する二〇三一年度着工は「まだまだ先としか言いようがない」。建設に必要な二兆一千億円を捻出し、二三年春の敦賀開業直後の着工を目指す。

 廃炉中も含め、十五基の原発が立地する2区。「私たちは原子力とともに歩んできた」と語る。不透明な敦賀原発3、4号機の増設計画などに触れ「これから原子力がどうなるんだろうと非常に不安だと思う。明確にしていくのも大きな仕事だ」と強調した。

 政策を振り返り、改めて決意を口にした。「重くのしかかった荷物をきっちり持ち上げるのが今の立場。それが六期十七年支えてもらった恩返しだ」

 (米田怜央)

◆脱原発へ産業誘致図る 斉木武志さん(43)=希元

 薄暗くなり始めた敦賀市市野々町の県道沿い。「お金の流れを地元ファーストに変える必要がある」。目の前を行き交う自動車のドライバーに向かって、元アナウンサーらしい、よく通る声を響かせた。

 時に手ぶりを交えながら、原発政策に言及した。廃炉中の原発に対しても交付金を支出するとして「動かさなければ渡さない自民党型は今、転換する時期を迎えている」と主張。電気自動車(EV)関連の新たな成長産業を誘致するための施策を訴え「子どもたちが戻って来られる地域にしていく」と呼び掛けた。

 森友、加計学園問題にも触れ「お友達に税金を配って社会保障への信頼性を失墜させた安倍さんには、消費増税を言い出す権利はない」と批判。「まっとうな社会保障をつくらなくてはいけない」と増税の凍結を訴えた。

 小雨が降る中、若狭町脇袋の商業施設前では、傘を片手に演説した。この場所で最初に口にしたのは、戸別所得補償制度を復活させること。「しがらみがないから、守るべきものは守り、変えるべきものは大胆に変えることができる」。里山や農家を守る決意に力を込めた。

 (鈴木啓太)

◆原発から暮らしを守る 猿橋巧さん(63)=共新

 雨の中、小浜市の小浜商工会議所前でマイクを握った。雨がっぱをはだけながら「台風や風水害で被害を受けると、その明くる日から復旧が始まるが、原発事故は残念ながら、そういうことにはならない」。

 休日午前の静かな家々に、音量は控えめに語り掛ける。「家は有害獣のすみかになり、田畑はセイタカアワダチソウで真っ黄色になる。これが現実」

 過疎と闘う若狭地域に、どこか通じるフレーズを重ねてから「福島の原発被災者集団訴訟の地裁判決が出た」と、福島の名前を出した。

 「東電と国の責任を認めた。これは画期的なこと。国は上告することなく、原発事故の反省を真摯(しんし)に考えながら、それを解決すべきだ」と訴えた。その上で、小浜市の隣接地には大飯原発3、4号機があり、事故のリスクや風評被害などへの懸念を指摘し「原発から住民の暮らしを守る」と訴えた。

 演説場所近くのファストフード店には、テークアウト待ちの住民の姿が見られた。店の前に一時停止していた車の運転手が、商品を注文する家族を待ちながら、静かに演説に耳を傾けていた。

 (山谷柾裕)

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