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福井

<課題への答え 候補者アンケートから> (5)教育

2017年10月19日 紙面から

 「保育料のために働いている感じ」。子どもが四人いる福井市内の契約社員の女性(39)は、こう漏らす。県は三人以上の子どもがいる子育て世帯を応援する制度を設けているが、次女と三女の就学前は条件が合わなかった。争点の一つにもなっている幼児教育の無償化。「子どもたちが平等に教育を受けられる、そんな制度があったらうれしかった」

 自民党は、子育て世代への投資を集中させる「全世代型社会保障」にかじを切り、幼児教育の無償化や大学の授業料減免など「人づくり革命」の実施を訴えている。

 県が二〇〇六年度に始めた子育て支援では、十八歳未満の子どもが三人以上いる世帯の、三人目以降の保育料などを原則無料化している。県子ども家庭課によると、制度を活用し保育料が無料になっているのは一年間に延べ五万人前後。県内の幼稚園や保育園に通う園児の15%ほどに当たるという。

 所得制限はなく、私立や公立の区別もないが、保育料の無償化は取り組みが始まった当時、三人目以降の年齢は三歳までで、第一子は十八歳未満という条件付きだった。県は一五年度にその対象を小学校就学前までに拡充。一六年度には第一子の年齢制限も撤廃し、支援を手厚くした。担当者は「まだまだとは思うが、他の県に比べ、先駆けてやってきた。福井の制度が全国的に広がっている」と話す。

 間もなく十一カ月になる長男の子育てに奮闘する福井市内の女性(40)は、年齢や金銭面からも三人の子どもを育てるのは困難だと感じている。県の施策は「自分に置き換えるとピンとこない」。自民党などが訴える幼児教育の無償化は「保育費を子どもの未来に投資するなどしたい」と歓迎するが「収入が関係なくなるのなら」と条件を付けた。

 長男が大学に行きたいと言った時のために、学資保険や積み立てなどをしている。金銭面で子どもの未来を閉ざしたくないからだ。福井県は学力、体力ともトップクラスを誇る。「親の収入に差があっても子どもが病気だったとしても、同じように教育を受けられることが大事。その土台があっての教育県」と思っている。

 契約社員の女性の長男と長女は高校を卒業後、大学には行かず就職を選んだ。「大学に行くお金の方が額が大きい。簡単に入れるもんじゃない。お金がないとね」と女性。学力テストの結果は数字だけで示される平均値。子育て世代の実感が伴わなければ、真の教育県とは言えない。

 (清兼千鶴)

 =終わり

 (問)子育て世代への政府投資を拡大する「教育無償化」をどう考えるか?=上から届け出順

◆1区

 金元幸枝さん(共産) 教育の無償化を憲法改正の入り口にしようとする動きには反対。日本の教育費は異常に高すぎる。義務教育でも負担をなくす。高校授業料の完全無償化、大学教育でも計画的に負担を減らしていく。保育も無償化していく。

 稲田朋美さん(自民) 幼児教育の無償化や介護人材の確保等を通じて、わが国の社会保障制度を全世代型に大きく転換していく。同時に、財政健全化にバランスよく取り組み、次世代への責任を果たしていく。

 鈴木宏治さん(希望) 保育園や幼稚園の無償化を進めると同時に大学等の返済不要な給付型奨学金を充実させることで、親の所得に関係なく教育を受ける機会を保証し、子供が希望を持てる環境をつくる事は、未来の日本のために重要である。

◆2区

 高木毅さん(自民) 家庭の経済状況によって、子供の教育に不平等があってはならない。財源の確保をしっかり進めながら、無償化を進めていく必要がある。

 斉木武志さん(希望) 就学前教育から大学までの完全無償化は私が長年主張してきた政策であり、大枠は賛成。ただ財源を消費増税に求めるのはいただけない。お友達目線ではなく国民目線の税配分に改めて財源を作り、教育国債の活用も検討。

 猿橋巧さん(共産) 教育の無償化を憲法改正の入り口にしようとする動きには反対。日本の教育費は異常に高すぎる。義務教育でも負担をなくす。高校授業料の完全無償化、大学教育でも計画的に負担を減らしていく。保育も無償化していく。

主な政党の公約

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