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福井

<演説から>(上) 1区

2017年10月19日 紙面から

 衆院選は22日に投開票を控え、熱を帯びてきた。小選挙区ごとに各候補者の訴えを、街頭演説や個人演説会を通して紹介する。

 (上から届け出順)

◆子どもに戦争させない 金元幸枝さん(59)=共新

 福井市の西武福井店前。選挙カーの上に立ち、支持者らを前にマイクを握った。「この選挙で、安倍政権を退陣に追い込まないといけない」。表情が引き締まり、演説の声に力がこもった。

 国民の不信感を拭えていない森友・加計学園疑惑などを挙げ「たまりにたまった政権への怒り、皆さんの政治を変えたいという思いをはっきりと示してください」と訴える。

 野党四党が連携した前回参院選の枠組みは崩れたが、安倍政権のストップで方向性が一致する社民党の応援を得た。「私たちだけで政治が変わるとは思わない。社民党の皆さんに応援していただき、本当に心強い限り」と語気を強めた。

 憲法九条の改正については一貫して否定する。「子どもたちが成長し、戦争に引っ張られる世の中にしては絶対にいけない。その思いで選挙を戦う」。消費税増税に反対する立場も明確だ。「10%にしたら子育て真っ最中の家庭も大きな負担になる」

 演説中には「皆さまに支えられて胸がいっぱい」と声をつまらせる場面も。「熱気、エネルギーを力にして最後まで頑張り抜きます」と誓った。

 (中場賢一)

◆福井の「おっかさん」に 稲田朋美さん(58)=自前

 有権者と握手する「どぶ板選挙」を連日、続ける。激励を受けるたび、感謝の気持ちが湧き上がる。「新党『ありがとう』をつくろうかなと思うくらい。毎日毎日、ありがとうと叫んでいる」。坂井市での個人演説会で思いを打ち明けた。

 最優先の訴えは、北朝鮮の脅威だ。弾道ミサイルを正確に撃つ能力を持つとし「そういった国が日本海を隔ててすぐそこにあるというのが日本の安全保障の現実」と話す。

 アベノミクスの継続や、幼児教育無償化など全世代型社会保障制度への転換にも触れる。その上で断言する。「具体的で、財源が伴い、実現可能な政策を前に進められるのは自民党、自公の連立政権しかない」

 この一年は失言や防衛相辞任など、多くの苦難に直面した。思い出すと、つい涙がこみ上げる。それでも声を振り絞る。「ガラスの天井にもぶち当たったが、地元の皆さんに支えてもらった。正念場の選挙だから、絶対に負けられない。私のイメージカラーは水仙グリーン。水仙の花のように強い福井の肝っ玉おっかさんになって福井、日本に恩返しがしたい」。前を見据えるその顔に、もう涙はない。

 (山本洋児)

◆地方減税で働く場所を 鈴木宏治さん(43)=希新

 「若い人が県外に出て行ってしまう。そして戻ってこない。私はこの人の流れを食い止めたい」。福井市の西武福井店前での街頭演説では、冒頭から熱っぽくこう語った。

 県議をやめてから、自らの足で山間地などを回り、直面したのは「おじいちゃん、おばあちゃんだけが残されて、集落が死に絶えていく」という現実。「そんんな厳しい地方から脱却したいと思ってきた」

 提案するのは地方減税だ。地方の要望を受け付けて対応する自民政権のやり方を批判し、「都会にある企業と地方の企業の税率を変える。地方を安くすれば都会に集まっている企業も地方に出てきて、働く場所がたくさんできる。そんな骨太の議論させて」と聴衆に訴えた。

 もうひとつ強調するのは身を切る改革。「国会議員は年収三千六百万円で、黒塗りの車にふんぞり返っている。庶民の暮らしが分かるわけがない」と批判。安倍政権の一連の疑惑に「何も解明されていない。不祥事を隠す今回のやり方は本当に許せない」と訴え、「高慢で強引な自民党のやり方を許して良いのかダメなのか。そういう選挙」と変革を呼び掛けた。

 (中崎裕)

主な政党の公約

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