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福井

<課題への答え 候補者アンケートから> (4)コメ政策

2017年10月18日 紙面から

 二〇一八年産から国によるコメの生産調整(減反)が見直される。国は需要に応じた生産を推進するが、生産過剰になり米価の安定性が保てるのかと心配する声も聞かれる。国内での消費量が年々減る中、生産者の生き残る道はどこにあるのか。コメ政策が大きな転換期を迎えている。

 少子高齢化や人口減少によるコメの需要減、中山間地域での耕作放棄地の拡大など、農業を取り巻く環境は厳しい。国はコメの生産数量目標の配分をやめ、十アール当たり七千五百円の直接支払交付金も廃止する方針だ。

 県認定農業者ネットワークの安実正嗣会長(69)は「コメ一本の時代から方向転換せざるを得ない」と見通し、「七千五百円がなくなると経営的に苦しい」と明かす。

 JA県中央会は九月、生産調整見直しの方向性の開示などについて北陸農政局福井支局に要請。一八年以降も長期的に安心して農業経営をするため、足並みをそろえて需要に応じた生産が実現されるよう、水田農業に関する制度の全容を早期開示して農家に周知することを求めた。

 県に対しても農業振興に関する要請の一環で、生産調整見直し後も行政が関わることを要求。各市町の農業再生委員会には、JAと一体となった取り組みを進めるとともに、水田を活用した園芸産地の育成に向けた働き掛けを求めている。

 国は、市町村が参画した農業再生協議会は存続し、全国ベースの需給見通しなどの情報を提供する方針。生産数量目標を配分する役割は、国に代わり農業再生協議会が担う方向性にある。ただ、コメの直接支払交付金の廃止がもたらす所得への影響が懸念される。

 そんな中で注目されるのが、販売価格が高いブランド米だ。県がポストこしひかりとして開発した「いちほまれ」は九月から試験販売が始まり、上々の評判を得ている。農家の所得向上につなげるため、県福井米戦略課の担当者は「競争の中でいかに注目を集め、購入してもらうかが大切」と来年からの本格販売をにらむ。

 (中場賢一)

 (問)コメの生産調整が廃止される。生産者が心配する米価下落にどう向き合うか。県内農業の活性化策は? =上から届け出順

◆1区

 金元幸枝さん(共産) 安倍政権によるコメの直接支払交付制度の廃止をやめ、農産物の価格保障・所得補償を抜本的に強化する。TPPの復活交渉は中止し、食料主権を尊重する貿易ルールを作る。新たな担い手を増やす取り組みを強化する。

 稲田朋美さん(自民) コメの需給と価格を安定させるため、コメ政策の見直しを進める。現場の声をよくうかがい、その声を政策見直しに反映させる。規模拡大や生産性の向上が困難な中山間地域に対する支援や鳥獣被害対策にも取り組む。

 鈴木宏治さん(希望) 福井の新ブランド米「いちほまれ」等の付加価値の高い、魅力ある作物の作付けを増やすことで農家の所得を増やす。知事との連携を進め、全国への販売プロモーションを効果的に支援していく。

◆2区

 高木毅さん(自民) 新しいブランド米「いちほまれ」等、県産のブランド力を高め、低コストの生産構造を実現することが必要。また園芸作物にも展開し高付加価値化を重点的に進めていく。餌米栽培等農家への手厚い支援が必要。

 斉木武志さん(希望) 兼業農家でも収入が安定する戸別所得補償制度を再導入し法制化すべきだ。収入が不安定では若手の新規参入も期待しにくく農家の高齢化がさらに進んでしまう。一方で集落営農など意欲の高い農家への集約化も応援する。

 猿橋巧さん(共産) 安倍政権によるコメの直接支払交付制度の廃止をやめ、農産物の価格保障・所得補償を抜本的に強化する。TPPの復活交渉は中止し、食料主権を尊重する貿易ルールを作る。新たな担い手を増やす取り組みを強化する。

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