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福井

<課題への答え 候補者アンケートから> (2)人手不足

2017年10月16日 紙面から

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 「地域で人材の奪い合いになっている」。越前市の電機メーカーの担当者がこぼす。九月に解禁された来春卒業の高校生採用選考では、二十人を募集したが申し込みは半分ほど。「市内の他の工場も高校生を積極的に採っている。中途採用もポツリポツリとしか来ない」。人手不足が今、県内企業を悩ませている。

 県内の有効求人倍率は全国で最も高い水準。八月は二・一〇倍(季節調整値)で東京と並び都道府県別トップだった。福井労働局の担当者は「景気回復で求人が増えたのに加え、福井には人手を要する眼鏡や繊維産業が集約している。原発の安全対策工事で建設業も人を欲している」と地域的な要因を説明。全産業で求人が活発化しているという。県内の完全失業率は1・9%で、全国(2・8%)を下回った。

 県内の一時間当たりの最低賃金は四年連続で過去最高額を更新。雇用面をみると、安倍政権が五年近く続けてきた経済政策「アベノミクス」は県内にも一定の効果をもたらしたといえそうだ。

 だが、働き手に有利な「売り手市場」が強まったことで、企業にとっては人材の確保が難しくなっている。人材を計画通りに採用できなければ、短期的には従業員の負担や残業を増やし、組織の疲弊を招く。新規事業や出店も思うようにいかず、長く続けば会社の存続にも影響しかねない。

 人手不足をどう解消していくのか。県外に出た学生のUターンや、福井に縁のない人を呼び込むIターンの促進も対策のひとつだ。県によると、今春のUターン率は29・2%で、二〇〇二年から実施している調査で最高だった。

 ただ「U・Iターンは全国各地で力を入れている。急激な増加は難しい」(県幹部)との見方もある。

 新しい視点の対策として、県は「潜在的労働力の呼び戻し」「企業の効率化支援」を始める。県内六地区で十一月から、子育てで退職した女性や高齢者を対象に、就業意欲を喚起するセミナーを開いていく。さらに、中小企業へのIoT(モノのインターネット)導入を支援し、人手を減らした企業活動を考えるきっかけにしてもらう。

 “特効薬”が見当たらない人手不足。人口減も進む中で、企業の将来への不安は膨らんでいる。

 (尾嶋隆宏)

 (問)「アベノミクス」をどう評価するか。日本一有効求人倍率の高い福井県の人手不足にどう対応するか? =上から届け出順

◆1区

 金元幸枝さん(共産) 大企業の内部留保の増加と労働者の実質賃金の低下に見るように、アベノミクスは破綻している。雇用の増加をいうが、増えたのは非正規雇用。「働き方改革」にも期待できない。最低賃金の引き上げで雇用流出を防ぐ。

 稲田朋美さん(自民) 雇用、企業収益などの各種指標にアベノミクスの効果が発現している。人手不足にはICTなどの生産性革命を推進するとともに、新幹線、道路などのインフラ整備などにより、人々が集まる魅力ある県づくりを進める。

 鈴木宏治さん(希望) 金融操作による大企業優遇・投資家優遇がアベノミクスの実体である。日本の経済を支えている中小零細企業の立場に立った産業政策や真面目に働く人が報われる政策にシフトし、東京一極集中からの脱却で人材を確保する。

◆2区

 高木毅さん(自民) 「アベノミクス」は、評価する。ただし地方の中小零細企業にはその実感がない。人手不足にはUターン、Iターンを若者に働き掛けながら、働き方改革などを通じて解消する。若者が地元に残り生活できる基盤をつくる。

 斉木武志さん(希望) アベノミクスは労働参加率が上昇した点は評価できる。ただマイナス金利はゼロに戻した方が景気は上向く。また実質賃金がこの5年全く上昇していないので、企業の内部留保課税で従業員の賃金上昇に誘導する施策も必要。

 猿橋巧さん(共産) 大企業の内部留保の増加と労働者の実質賃金の低下に見るように、アベノミクスは破綻している。雇用の増加をいうが、増えたのは非正規雇用。「働き方改革」にも期待できない。最低賃金の引き上げで雇用流出を防ぐ。

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