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福井

<課題への答え 候補者アンケートから> (1)新幹線

2017年10月15日 紙面から

 二十二日投開票の衆院選に向け、県内二つの小選挙区で計六人の候補者が舌戦を繰り広げている。県内の課題である北陸新幹線の延伸、人手不足の解消、農業活性化−などにどう対応していくのか。候補者にアンケートし、「答え」を示してもらった。

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 六月中旬、敦賀以西の上空一五〇〇メートルから航空写真が撮影された。北陸新幹線の未着工区間(敦賀−新大阪)について、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が詳細なルートを決める参考にするため。昨年度末に小浜−京都ルートが決定し、着工への歩みは確実に進んでいる。

 敦賀以西ルートで最大の課題は、二兆一千億円とされる財源の確保だ。整備新幹線の財源は現在、二〇三〇年度末に開業予定の北海道新幹線札幌開業までしかめどが立っていない。

 与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(与党PT)は、ルートの調査と環境アセスメント(環境影響評価)に五〜六年かかると見込み、この間に財源の決着を図るという。

 国土交通省は、三一年度着工、四六年度開業と想定する。二二年度末の敦賀開業からは、二十年以上も間が空く。この空白期間を埋めるため、国交省が提案したのがフリーゲージトレイン(FGT=軌間可変電車)だった。車軸の幅を変えることで新幹線と在来線の双方を走行でき、乗り換えが不要になる。

 しかし雲行きは怪しい。先行導入される予定だった九州新幹線長崎ルートで、運行主体のJR九州は七月、安全性と経済性を理由に導入断念を正式に発表。北陸は九州の車両をベースとして雪対策を加える予定で、影響は避けられない。

 これにより機運が高まってきたのが、福井駅までの特急列車存続だ。有識者でつくる整備新幹線小委員会は一二年、金沢−敦賀間の着工認可を前に、投資効果や収支採算性を審議。会合で国交省はFGTの導入を見込んだ数値を示した。

 鯖江市の牧野百男市長は「(整備新幹線の着工五条件の一つである)並行在来線の経営分離に同意したのは、FGTによる乗り換えなしが前提だった」と主張。二月には与党検討委員会に特急存続の要望書を提出し、検討委の議題に上がった。その後、県議会も意見書案を可決するなど、動きは広がりを見せる。

 ただ欠点もある。新幹線の乗客が特急に奪われると収支が悪化し、整備新幹線の財源である貸付料(JRが国に支払う施設使用料)の減少につながる。運転士や車両の確保など課題は多く、並行在来線の経営にも影響が及ぶ。

 西川一誠知事は国交省とJR西日本に「FGTの方針を早く出してほしい」と注文。検討委には「県民益が最大限確保されるよう要請したい」と述べるにとどめる。県幹部は言う。「新幹線は政治で決まる。早く決着させてほしい」

 (山本洋児)

 (問)北陸新幹線金沢−敦賀開業後も特急列車の運行は存続すべきだと考えるか。敦賀−新大阪間の財源確保や全線開業時期の考え方は?=上から届け出順

◆1区

 金元幸枝さん(共産) 特急の存続運行は強い要望があり、実現すべきだ。並行在来線の三セク化問題も説明はなく、県民の合意はない。大阪までの全線開業は国の責任で行い、自治体に負担を求めず、期限ありきの無理な投資は避けるべきだ。

 稲田朋美さん(自民) 敦賀開業後に沿線の方々にとって鉄道の利便性や速達性が低下しないよう、運行の在り方を検討する。敦賀−大阪間は、貸付料や事業費精査等の議論を加速し、国費を含め財源を確保して、早期着工を目指す。

 鈴木宏治さん(希望) 並行在来線は存続運行すべきだ。一方で東京都知事でもある小池代表と松井大阪府知事の連携で、一刻も早い全線開業を実現する。西川知事にも両者の連携に加わるよう働きかけ、都市部の資金の呼び込みを図る。

◆2区

 高木毅さん(自民) FGTが導入されるまで特急は存続運行すべきだ。敦賀開業後速やかに着工し、10年後をめどに全線開業目標としたい。建設に必要な財源は、JRへの貸付料の算定基準とその期間調整、国費増額を目指す。

 斉木武志さん(希望) 2046年度開業は遅すぎるので、可能な限り前倒し。特急のサンダーバードとしらさぎは大阪全線開業まで存続運行できるよう、全力で後押ししたい。

 猿橋巧さん(共産) 特急の存続は、強い要望があり実現すべきだ。並行在来線の三セク化も説明はなく、県民の合意はない。大阪までの全線開業は自治体に負担を求めず、国の責任で行い、期限ありきの無理な投資は避けるべきだ。

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