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福井

自衛隊パレード観覧者に聞く 9条改正、戦争は反対だが…

2017年10月14日 紙面から

 衆院選の争点の一つは憲法改正だ。安倍晋三首相(自民党総裁)は九条に自衛隊を明記する案を表明。その是非や改正のあり方を巡り、与野党からさまざまな意見が出ている。県内の有権者らはどう考えるのか。今月上旬に福井市中心部で行われた自衛隊のパレードを見に来た人たちに聞いた。

 家族三人で訪れた福井市の会社員男性(36)は、自衛隊を明記する首相案に賛成する。「(現状では自衛隊の位置付けが)あいまいな状態のままになっている。自衛隊のためにもはっきりした方がいい」と理由を話した。

 富山県黒部市から来た会社員男性(27)も賛成の立場だ。「災害時などに救援活動をしている自衛隊の存在は、憲法に明記していいのでは。もちろん戦争は絶対に許されるものではないが、自衛のための組織は憲法に明記されてよい」と話す。最近買ったカメラの撮影練習を兼ねて、パレードを見に来たという。

 一方、友人と一緒に来た福井市の会社員女性(22)は「あえて九条を変える必要があるとは思えない」と話した。「憲法改正などによって、自衛隊が戦場に行かざるを得ない状況になり、隊員が命を落としてしまうことも考えられる」というのが理由だ。自衛隊の活動範囲や役割は「災害への対応など、今のままで十分」との考えだ。

 インターネットでパレードを知って足を運んだ同市の看護師女性(40)も首相案に反対する。自衛隊の活動の場が広がり、戦争に巻き込まれる可能性が出てくると考え「憎しみが生まれ、つらい思いの悪循環になるのでは」と心配する。

 福井市の会社員男性(38)は、戦闘機に興味がある小学生の子ども二人と一緒に来た。投票する際には経済政策を重視するが、各党や候補者の憲法改正への考え方も、判断基準の一つにするつもりだ。

 「七十年以上、平和を守り続けてきた憲法は素晴らしいが、時代の変化に即した形に変えていく必要があるのでは」と指摘。その上で「まだ十分に議論が尽くされているとは思えない。国民全体でしっかりと考えるべき問題だと思う」と語った。

 自衛隊のパレードは、地元の経済団体などでつくる実行委が九日に福井地裁前から大名町交差点にかけての通称フェニックス通りで開催。陸上自衛隊鯖江駐屯地(鯖江市)や近隣府県の陸海空の部隊から約二百人が参加した。

 (清兼千鶴、小川祥)

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