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福井

<混迷 衆院選ふくい2017>(下)共産 社民からの支援

2017年10月7日 紙面から

◆歴史的…戸惑いの声も

 昨年七月の参院選福井選挙区で、民進党と社民党、政治団体緑の党との四野党共闘を組んだ共産党。この枠組みでの共闘は、衆院解散の九月二十八日に民進党が新党「希望の党」との合流を決めたことで破綻に向かった。「非常に残念」。共産党県委員長の南秀一は悔しさをにじませる。

 共産は昨年十一月、福井1区に金元幸枝、2区に猿橋巧を出馬させると発表。民進が1区の候補擁立に右往左往していた解散直前、県委員会幹部は「民進が出せないのなら、金元を1区の野党統一候補にしたい」ともくろんでいた。昨年の参院選では民進の支持母体「連合福井」から出た野党統一候補に票を集めており「恩を返してもらう」つもりだった。

 しかし、民進は1区で県議の野田富久、2区で斉木武志を希望の党に公認申請することに。希望は「改憲」「現実的な安全保障政策」を掲げており、共産にとっては「自民党の補完勢力」としか映らない。南は民進に対し「共闘を裏切った」と憤り、1区金元、2区猿橋で闘うことが決まっていった。

 県内小選挙区は二つとも自民、共産、希望の候補が争う構図となりそう。南は「対決構図がはっきりした。私利私欲なく国民のための政治を目指す」と、ぶれずに打倒安倍政権を訴えていく構えだ。

 一方、社民は今回、独自候補の擁立は見送っていた。県連代表の龍田清成には「昨年の参院選のような野党統一候補に大きな期待があった」というが、希望の出現に翻弄(ほんろう)された。

 党県連は四日、2区で共産の猿橋を支援する決断をした。「護憲」を貫く党として、希望とは相いれない。長く続いてきた民進との連携関係があっても、斉木の応援は無理と結論。大きな目標は安倍政権のストップであり「消去法の選択の中で共産を応援することにした」と龍田は説明する。

 1区は野田の動向を最後まで注視した。野田は旧社会党出身。龍田は「希望の公認から外れ、無所属または立憲民主党で立つのなら、野田さんを支援する可能性はある」と話していた。結果として、野田は出馬を辞退。六日に1区も金元支援と決めた。

 共産と社民の接近は、希望の出現がなければなかった。南は「社民からの支援は歴史的なこと」と敬意を口にする一方、龍田は「共産への応援といわれ戸惑う人もいた」と話す。「連携」とも表現しにくい細い関係性だ。

 また日本維新の会は、所属していた元県議の鈴木宏治が1区から希望公認で出馬することになった。県内組織「福井維新の会」の代表を務める比例北陸信越前職の吉田豊史(富山県)は「できれば、鈴木は維新から立候補してほしかった。鈴木を応援できるかどうかは分からない」と複雑な胸の内を明かした。 =敬称略

 (この企画は山本洋児、中崎裕、中場賢一、尾嶋隆宏が担当しました)

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