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福井

県民、切実な声

2017年9月29日 紙面から

 衆院が解散され、各党や立候補予定者による選挙戦が事実上始まった。安倍晋三首相が掲げる争点や県内各地が抱える課題について、住民は政治に何を求めるのか。切実な声を聞いた。

 福井市の県生活学習館で二十八日に開かれた、主に子育て中の女性を対象とした再就職支援セミナー。同市江守中町の主婦、加藤菊代さん(35)は一歳の子を育てながら再就職を希望している。「自宅から遠くても入ることができる保育園があれば、待機児童とみなされない。本当の意味で待機児童をゼロにし、多くの人が働ける社会をつくって」と望んだ。

 首相は、消費税率の引き上げに伴う税収を子育て支援に充てると主張している。別の参加者は「それよりも早く国債を返したほうがいいのでは」と冷めた様子で話した。

 仕事を探すためにハローワーク福井(福井市開発一)を訪れた坂井市の男性(57)は「アベノミクスによる恩恵が感じられない。県内の有効求人倍率は高いが、生活が豊かになっている実感がない」とため息まじりに話した。勤務先の会社を八月にリストラされたという。

 今月に会社を辞めたという福井市の二十代男性は「政治家に全く期待しておらず、投票しても何も変わらないと思っている」と淡々と話した。

 人口が二千六百人余りで県内最少の池田町。同町山田の飲食業、赤坂晃治さん(32)は取引先農家への配達や精米の手伝いをしながら、解散を知った。町内には若者が少なく、赤坂さんが団長を務める町青年団はわずか九人。うち五人は「地域おこし協力隊」など政府の取り組みで町外から来たという。

 「協力隊のように若者が入ってくる仕組みの拡充などが必要」。こうした取り組みを機に若者たちが定住していくためにも、農業への手厚い支援の必要性を感じる。「全国の過疎地が集まってアピールするような場を設けてほしい」と、過疎地の地域振興策を求めた。

 関西電力大飯原発が立地するおおい町。町内の六十代主婦は「以前、関電の関連会社で働いていた身だが、福島の事故があったので廃炉の議論を進めてほしい」と話した。

 既に稼働している高浜原発3、4号機がある高浜町内の農業の五十代男性は「原発の安全性を高める議論を望みたい。脱原発を掲げる候補者は、代替策にも触れて」と注文した。

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