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福井

さあ解散、幕は開いた

2017年9月29日 紙面から

 衆院が解散され、事実上の選挙戦がスタートした。県関係では自民党前職の4人が、再び国政の舞台に戻る決意を固め、国会を後にした。野党側は中央の再編動向をにらみつつ、県内で街頭演説や支援者回りを本格化させ、議席奪取に向けて走り始めた。

▼野党

 民進党から立候補予定の元職、斉木武志さん(43)=福井2区=は午前七時すぎから、越前市横市町で街頭に立った。目まぐるしく状況が変わる希望の党との合流構想に「野党がどのような結束を見せるか、ぜひ関心をもって見守ってほしい」。夕方には、福井市内であった連合の会合に出席後、記者団に「希望の党を民進党を挙げて支援していくと決定したので、希望の党で戦うのが唯一の選択肢」と述べた。

 「解散に大義はない」と安倍政権への批判を強めた共産党の猿橋巧さん(63)=福井2区=は、敦賀市内で街頭演説後、精力的に支持者を回った。連携を目指していた民進党が希望の党への合流方針を打ち出したことに「ただただ、びっくり」。「地方組織は急な話でたまったものではないだろう」と、民進党内や支持者の温度差を推察し、「最後まで市民と野党の共闘を模索したい」と、地方レベルでの連携を望んだ。

 同じく共産党から出馬予定の金元幸枝さん(59)=福井1区=も解散後の午後二時ごろ、福井市内でマイクを握り「安倍首相はお友達を優遇し、国を私物化している。退陣に追い込むチャンス」と選挙に向けて気勢を上げた。記者団から民進党と希望の党の合流に質問が及ぶと「公党間の約束をほごにする。国民の期待を裏切ることにつながる」と話し、これまでの野党共闘の枠組みが崩れることを懸念した。

◆名前残して 民進・山本代表

 衆院選で民進党が希望の党に事実上、合流することについて、民進党県連の山本正雄代表は二十八日午後、記者団に「安倍一強を食い止めるためには今までの民進党の力だけでは厳しい。これも一つの大きな流れなのかなと感じている」と心境を吐露。「党の名前は残してほしい」と語った。

 解散前日の二十七日から中央の動きが一気に加速した。山本代表は「地方の組織としては、もう少し早く方向性を相談しながら進めてもらいたい。そうでないと対応が遅れて混乱する」と注文を口にした。まだ候補者が決まっていない福井1区については、週内をめどに「擁立に向けて最善を尽くす」と述べた。

▼与党

 自民党政調会長などを歴任した稲田朋美さん(58)=福井1区=は、久しぶりに地元での活動に専念できる選挙戦。解散後、記者団に「地元の意見をたくさん聞く『対話の選挙』にしたい」と語った。保守の政策集団「伝統と創造の会」の会合では、ガンバローを三唱。党本部で公認証を受け取り福井へ向かった。

 元復興相の高木毅さん(61)=福井2区=は本会議後、記者団に「何回味わっても緊張する。必ず帰ってくるという気持ち」とやや高揚した面持ち。2区の自民党候補者を巡っては、現職二人が公認争いを演じる混乱も起きた。「公認候補に決めてもらったので、恥じない選挙をして立派に当選するのがご恩返し。そういう意味でも絶対に負けられない」と気を引き締めた。

 山本拓さん(65)=比例北陸信越=は午前、今後の対応を電話で打ち合わせた。今回の衆院選構図を「自民対小池氏」と分析。「改革保守として自民党分断を狙ってくる。受け皿目的の対抗馬を立ててくると予測され、今まで以上に厳しくなる」と述べた。選挙では北陸新幹線の早期整備などを訴える方針。解散後は派閥の会合に出席し、福井へと急いだ。

 比例単独で三選を目指すことになった助田重義さん(57)=同=は、午前中から関係者との連絡などに追われた。民進党と希望の党の合流には「どういった政策公約を出すかも分からない」と静観の構え。ただ「注目を浴びており、自民党の既存の地盤を固めないといけない」とも述べ、党県連総務会に出席するため地元へ戻った。

◆2区意向調査、反省の意示す 自民・山本県連会長

 自民党県連は二十八日夕、福井市大手三の県繊協ビルで総務会を開いた。衆院選福井2区へのくら替え出馬を狙って候補者選定の意向調査を主導した山本拓県連会長が、県連内を混乱させたとして約八十人の参加者に反省の意を示した。

 冒頭などを除き、非公開。終了後、仲倉典克総務会長は「山本会長から心からの反省の言葉があった」と説明。「県内全党員を巻き込んだ意向調査だったので、完全に拭い去れるとは思っていないが、一丸となって選挙戦に取り組んでいく」と話した。

 衆院選の県連選挙対策本部の設置を決め、本部長には助田重義氏が就いた。

主な政党の公約

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