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福井

与野党とも調整続く 解散へ県内選挙区

2017年9月26日 紙面から

 安倍晋三首相が二十五日、衆院を二十八日に解散すると表明した。県内の二つの選挙区は、与野党とも立候補予定者の顔触れがまだ固まっておらず、調整が続いている。

 福井1区は、自民党現職で元防衛相の稲田朋美さん(58)の五選出馬が確実視されているほか、共産党新人の金元幸枝さん(59)も立候補を表明している。民進党は二十五日の幹事会で、県内出身の女性を擁立する方向で最終調整に入った。

 福井2区は、自民党内での公認候補争いが続く。現職で六期目の高木毅さん(61)、党県連会長で七期目の山本拓さん(65)=比例代表北陸信越ブロック選出=のベテラン二人が出馬に意欲を示す。民進党からは元職の斉木武志さん(43)、共産党からは新人の猿橋巧さん(63)が立候補する予定。

◆1区 民進候補、事実上絞る/稲田さん動く

 安倍首相が記者会見で衆院解散を表明した二十五日午後六時、福井市の県国際交流会館に民進党県連の幹部が続々と集まってきた。主題はまだ決まっていない福井1区の候補者選定だ。

 会合で報告されたのは、候補は事実上、県内出身の六十代女性に絞られたこと。三人の候補から擁立を検討してきたものの、党本部主体の擁立は不調に終わり、県連が打診した元衆院議員秘書の男性も出馬を見送った。

 独自の候補者を擁立できず、自主投票とした前回の衆院選から三年弱。県連内に「不戦敗はできない」との思いは強いが、自民党の稲田朋美さん(58)が地盤とする1区での擁立作業は難航を極めた。

 その稲田さんが自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)問題や相次ぐ失言で資質が問われる事態に陥り、今回は民進党にとって千載一遇のチャンス。ただ、県連選挙対策委員長の野田富久県議は「調整が必要で、決定は(解散後の)二十九か三十日になる。ギリギリだ」と唇をかむ。

 来月十日と見込まれる公示まで、残り十四日。候補者選定に手間取る民進党をよそに、現職の稲田さんは、防衛相辞任後から精力的に動いている。

 市議会の自民会派や後援会など「既に六十近く(組織を)回っている」(陣営関係者)という。

 二十三日に福井駅前で開かれたイベントで、市民に声をかけて回り、二〇〇四年に初めて出馬して以来の「どぶ板選挙」に臨む構え。解散表明を受け「政治の原点に立ち戻り、謙虚にひるむことなく前進していきたい」とコメントした。

 1区では共産党の金元幸枝さん(59)も出馬する予定。二十五日も朝から福井市内の街頭に立ち「安倍首相の身勝手さ、党利党略は本当に許せない。安倍政権の退陣を求めてがんばっていきたい」と力を込めた。

◆2区 自民、現職同士が公認争い/野党も準備

 福井2区では自民党内で現職同士が公認争いを演じる異例の展開に。県内党員を対象にした意向調査の結果は二十六日の県連執行部会で出る見通しだが、党本部に公認申請する候補者を決定できなかった場合、党本部判断になる可能性もある。

 選挙区現職の高木毅さん(61)はこの週末も、おおい町や若狭町など選挙区内で支援者や催しを回った。

 二十五日、本紙の取材に「(自身が2区の候補者という)党本部で決められている通りにやることが当然。非常に残念」と不快感を示す。

 一方、旧2区から比例北陸信越ブロックに移った県連会長の現職山本拓さん(65)も、二十四日には鯖江市内の支援者が集う会合に出席。本紙の取材に「選挙区で出る準備をしている。もともと選挙区だったから、人間関係はできている」と自信をのぞかせた。

 一部では、意向調査までの手続きが不十分との声がある。山本さんは「党紀違反はない。党員の声を聞くことは公平なやり方。執行部会で時間をかけて議論したい」と話す。

 一方、民進党は元職の斉木武志さん(43)が、昨年五月末から準備を進めてきた。以前の選挙区だった浜松市から越前市に移住した斉木さんは、二十三日は鯖江市内で街頭演説。取材に「公示までにどれだけ認知度を上げていけるかが勝負」と述べ、現職との対決に気を引き締めた。

 二十五日の安倍首相の解散表明には「(疑惑という)臭い物にふたをする言論封殺だ。支持率が下がらないうちに選挙戦に持ち込もうというのが見えている」と反発した。

 共産党からの出馬を表明している元おおい町議の猿橋巧さん(63)は、二十三、二十四日は鯖江市や敦賀市で街頭に立ち原発に頼らない地域づくりを主張。衆院解散に「受けて立つだけ」と語った。

 (尾嶋隆宏)

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