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中部

「反自民」風どちらに

2017年10月21日 紙面から

 二十二日投開票の衆院選は自民が優勢な情勢の中、野党は希望の党と立憲民主が「第一党」の座を争う。希望は結党時の勢いが弱まり、民進出身の希望前職には小池百合子代表と距離を置く動きも。逆に、希望入りを拒まれた立憲民主の候補には追い風に乗ろうと、党名を連呼する人もおり、最終盤まで対照的な選挙戦が繰り広げられている。選挙後を見据えた新たな野党再編の動きも出ている。 

◆希望 緑には染まらない

 「シンボルカラーはどこまで行っても青。絶対に緑にはなりません」。愛知9区の前職岡本充功さんは、小池代表や希望の象徴である緑色を拒絶。「希望に属しても自分の主張は変えない」と話す。陣営幹部は「希望の党名を出しても票は増えない」と苦しい胸の内を話す。

 青色のスーツを愛用する愛知15区の新人関健一郎さんも会員制交流サイト(SNS)で「セキブルーは、緑には変わりません」と発信。ポスターに緑色は使わず小池代表の写真もなし。「党でなく僕の政策、理念を見て」と繰り返す。

 政策で「希望色」を薄める人も。長野4区の元職寺島義幸さんは「九条を守る 立憲主義を守る」と垂れ幕を掲げた。「九条を含め改憲論議を進める」とする党公約と違いを見せる。有権者から改憲の立場を問われることもあり、陣営内から「無所属の方がよかった」との声も出ている。

 逆に、愛知10区の新人安井美沙子さんはポスターに小池代表の写真シールを貼り、街頭でも「希望の安井」と連呼。参院からの落下傘候補のため知名度不足が悩みで、陣営幹部は「希望の旗は重要」と話す。

 その小池代表は十七日、名古屋駅前で「希望の党、よちよち歩きで人もお金も何もありませんが、全国規模で戦っている。今のおごりある政治をストップさせないと」と訴えた。

◆立民 政権も排除も批判

 愛知1区の元職吉田統彦さんは二十日、名古屋市内の街頭演説で、立憲民主の党名と自分の名前を三十分間に七十回以上繰り返した。当初は希望への合流を望んだが、公認は得られなかった。だが、今では「希望から懸け離れ、失望、そして絶望になった」と相手を皮肉る。演説会では枝野幸男代表の写真入りチラシを配ることも忘れない。

 その枝野代表は同日、津市で岡田克也元民進党代表と共に、民進出身の無所属候補の応援に立った。マイクを握ると「えだのー」と声援。枝野代表は「安倍さんは思い上がりで国民の声に耳を傾けられない」と安倍政権を批判した。

 小池代表による「排除」に反発する愛知5区の前職赤松広隆さんは「都合のいい人だけ集め、邪魔な人は排除。とんでもない」と希望の批判を強める。

 愛知3区の前職近藤昭一さんの事務所には選挙区外から連日ボランティアが訪れる。陣営幹部は「政権を取った旧民主時代にもなかったこと」と予想以上の手応えに驚く。

 立憲民主が今の勢いを維持すれば、野党勢力の核となり、民進出身の無所属から立憲入りや統一会派の結成を求める声が出る可能性は高い。選挙後の対応を問われた枝野代表は取材に対し、「国会で岡田さんと連携を取っていくことは間違いない」と明言。「私は党で、岡田さんは無所属の仲間や残った民進党をうまくやってもらいたい」と述べた。岡田氏も「枝野さんとはあうんの呼吸ができている」と応じた。

 (衆院選取材班)

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