• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

中部

半数「9条変えるな」なのに 投票で憲法重視1割

2017年10月19日 紙面から

写真

 衆院選の終盤情勢を探るため、共同通信社が全国で行った電話世論調査に合わせ、中日新聞社が中部九県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀、静岡、石川、富山)で行った意識調査によると、有権者の半数が憲法九条を「変えない方がいい」と回答したにもかかわらず、投票の際に重視する政策に憲法を選んだ人は一割にすぎなかった。

 憲法に対する考えが直接、投票行動に結びつかない傾向が浮かび上がった。

 憲法九条に対する考え方を尋ねたところ、「変えない方がいい」とする回答は50・8%。「変える方がいい」の31・6%を大きく上回った。

 「変えない方がいい」の回答は十八歳から七十歳以上までの全世代で「変える方がいい」を上回った。また性別でも大差はなく、特に女性は「変える方がいい」が22・9%と男性の40・8%を大きく下回った。

 支持政党別では、自民では「変える方がいい」が47・6%で、「変えないほうがいい」の35・8%を上回ったが、公明ではそれぞれ30・4%、45・7%と逆転。希望の党支持層も59・4%が「変えない方がいい」とした。

 共産、社民支持層は「変えない方がいい」がともに80%超。安倍政権の安保法制を違憲とする立場の立憲民主の支持層も78・7%に上った。

 また、投票の際に重視する政策として「憲法に対する姿勢」を選んだ回答は10・5%。支持政党別では自民の支持層の8・7%、共産支持層の32・1%が選んだ。

 中部九県の意識調査では有権者約一万八千人が回答した。

◆自民圧勝なら議論加速

写真

 共同通信社による衆院選終盤の情勢調査では、自民、公明の与党が、定数(465)の3分の2を維持する勢い。野党の希望、維新などを加えた「改憲5党」が、改憲の国会発議に必要な3分の2を超えるのは有力とみられる。

 衆院選で自民党は、公約に「自衛隊明記」など改憲4項目を盛り込んだ。圧勝すれば、改憲議論を加速させるとみられる。年内に与野党協議を進め、来年の通常国会で改正案を発議するシナリオが現実味を帯びる。

 9条改正を目指す安倍晋三首相は、2020年の改憲施行を念頭に置く。首相は今年5月、憲法施行70年に合わせて「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言。「自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、違憲かもしれないとの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と述べ、国会に具体的な議論を促した。

主な政党の公約

新聞購読のご案内