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中部

無所属、地元が頼り 旧民進系、連帯の動きも

2017年10月9日 紙面から

 十日公示の衆院選は、これまで政党に所属していた立候補予定者が、無所属で出馬するケースが増えそうだ。中部地方では希望の党の公認を得られなかったり、「選別」に反発したりして、一人での戦いを選んだ民進党出身者がほとんど。八日は地元の支持者らを回り、事情説明などに追われた。三重県では、無所属で出馬予定の民進出身者らが新たなネットワークを立ち上げる動きが出てきた。

 愛知8区の前職伴野豊さんは、愛知県知多市内の集会に出席。「この十日間が十年くらいに思えた」と、希望の党の公認を待ち続けた苦しい胸の内を明かした後、無所属で出馬する決意を口にした。公認を申請したが、四度発表されたリストに名前はなかった。「比例代表との重複立候補というセーフティーネットがなくなった。一票でも勝たねば終わる。六期目を前に天命ととらえて信念を貫きたい」

 愛知12区の前職重徳和彦さんは「党の看板も党首の顔もない、まさに背水の陣。地元の皆さんが唯一の頼りです」。同県岡崎市内の自転車遊説では「無所属」ののぼり旗を掲げた。

 希望が掲げる改憲に前向きで、安保法制にも理解を示す。「自動的に公認されてもいいぐらい」と考えていたが、駄目だった。「当選して(代表の)小池(百合子)さんに、なぜ公認しなかったのか聞いてみたい」とまだ納得できない様子だ。

 「いろいろあって無所属で出馬することになりました」。岐阜1区の新人吉田里江さんは地域の運動会の会場で頭を下げた。

 七日の事務所開きでは「権力に捨てられた」と涙ぐんだ吉田さん。民進党岐阜県連の方針に従って希望に公認申請したが、「2区なら公認する。1区なら無所属で」と迫られ、無所属を選んだ。約千四百枚のポスターは撤去せざるを得なくなったが、憲法九条を変えることに「反対」と堂々と自分の意見を言えるようになった。「自分らしく生きるのが一番」と話す。

 長野1区の前職篠原孝さんは、長野市郊外の運動会に顔を出し、「無所属で立候補することになったので、選挙中は政見放送に出られません」と説明して回った。希望が政策協定書で安全保障関連法の容認などを求めたことに反発し、署名を拒否。それでも希望が三日に公認したため、翌日、自分から公認を辞退する異例の経過をたどった。

 「張れるポスターの枚数も少なくなるので、手を抜いていると思われかねない」。いろいろと心配はあるが、ひたすら個人演説会で政策を訴えるスタイルを貫くつもりだ。

◆復活当選、政見放送なし

 無所属で立候補した場合は、政党公認に比べて、一般的に不利な選挙戦を強いられる。

 最も大きな違いは、比例代表の復活当選の有無だ。政党公認候補は政党の比例代表名簿に名前を載せることができるため、選挙区で敗れても復活の可能性がある。政党に属さない無所属候補者にはその道がない。

 ビラは政党公認が十一万枚まで認められるのに対し、無所属は七万枚。ポスターは政党公認だと千枚多く張ることができる。選挙事務所や選挙カーなども同様に政党公認の方が多く使える。

 有権者が投票先を決める上で参考になるテレビやラジオの政見放送は、無所属だと出演すらできない。これらの差は公職選挙法が政党中心の政治を理念としているためとされ、無所属候補などの間に批判の声がある。

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