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中部

小池流に「地方」大揺れ 民進分裂、選挙区と比例でねじれも

2017年10月4日 夕刊

 小池百合子代表率いる希望の党が、民進党出身者らに公認の条件として「改憲支持」などを迫る政策協定書を突きつけた手法に対して、東海地方で民進党を支持してきた組織や地方議員らの間で強い反発が起きている。「民進分裂」で、希望と、枝野幸男元官房長官が立ち上げた新党の間で揺れる地方議員も出ている。

 前職の岡田克也さん(三重3区)、中川正春さん(同2区)、松田直久さん(同1区)の三人が無所属での出馬を決めた三重県。「協定書は政治家によっては歩んできた道から耐えられない内容だ。腹をくくった決断だ」。民主党時代からの強力な支持組織である連合三重の吉川秀治会長は三人の決断を重く受け止めた。

 「改憲支持」は、特に連合傘下の自治労や県教組といった組合員にアレルギーが強い。県教組出身の県議には、戦争を知る世代の元教員から「何で小池さんなんだ」と抗議の電話が相次いだという。

 希望の結党後、合流するか否か、決めかねていた松田さんには組合関係者から反発の声が寄せられた。「護憲の立場なので、松田さんが希望に合流したら、どうしようかと思っていた」。自治労県本部の原田貴文書記長は胸をなで下ろす。

 「これじゃ安倍政権と変わらない。官公労系の組合は乗れない」。三重県の民進系県議は協定書を見て驚いた。民進は安倍政権の安保法制に反対してきただけに、「有権者に説明できなくなってしまう」ことを危惧した。立候補者から支持組織が離れることは選挙の苦戦に直結する。希望と決別した三人の判断に理解を示し、「退路を断った。これで陣営は引き締まる」と語る。

 一方、三重4区に出馬する元職の藤田大助さんは希望の公認が決まった。連合は支援を決めたが、官公労系の組合員には藤田さんが掲げる政策を「見極めないといけない」との声もある。

 三重と並ぶ「民進王国」の愛知県の地方議員の中には小選挙区で希望の候補を推しつつ、比例ではリベラルな立憲民主党への投票を呼び掛ける議員も。

 「排除の論理を振りかざし、改憲や安保で踏み絵を踏ませる。そんな党を絶対支援できない」。旧社会党出身の高木浩司県議は語気を強める。だが、高木県議の地元の愛知4区では前職の牧義夫さんが希望の公認を受けた。選挙区では政策に共鳴できる牧さんを支援するが、比例は、政治信条に最も近いという新党、立憲民主党への投票を支援者に訴える。「立憲民主の人たちも元は仲間だ。何のためらいもない」と話した。

 (衆院選取材班)

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