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野党共闘、再び焦点 「希望不参加組」に期待の声

2017年10月1日 紙面から

 小池百合子東京都知事が率いる希望の党に雪崩を打って合流するとみられていた民進に異変が起きている。小池知事の「排除の論理」に反発する一部のリベラル派たちが、無所属での出馬を探るなど“離脱”する動きが出ているためだ。一時、破綻しかけた野党共闘が再び息を吹き返す可能性もある。

 「民進党の皆さん。これで良いのでしょうか」。共産党副委員長の田村智子参院議員は三十日、三重県四日市市の街頭で語った。希望の党の公認を巡り、安保政策や改憲に対する考えを「踏み絵」にしようとする小池知事。野党共闘を模索してきた田村参院議員は「今からでも、市民の前で堂々と話ができる共闘の立場に立ち返ってほしい」と呼び掛けた。

 もともと共産は三重1、2、4区を民進に譲って候補を取り下げる方針だった。民進候補が希望の党から出馬すれば全区に共産候補を立てるとしたが、そうでない場合、田村参院議員は「共闘の可能性を個別に判断し、できる限り支援したい」と語る。

 民進内で約二十人のリベラル派を率いる愛知5区の民進前職赤松広隆さんは三十日、安保法制に賛成するという踏み絵を踏まされるなら、希望の党に公認申請を出さないと表明。無所属での出馬や新しい党の結成などを示唆した。他にも不参加の動きが出ている。

 「うねりが起きている」。石山淳一・共産党愛知県委員会書記長は言う。民進の立候補予定者が無所属で出馬したり、リベラル派が新党を設立したりすれば、「当然、共闘を推進していく」。

 石山書記長は「小池知事の本性が現れた。目的はリベラル派の排除、共闘つぶしだ」と指摘。リベラル派の離脱で「真の野党の道が見えてきた。信念を持つ皆さんと安倍政権と小池新党を打倒したい」と話す。

 名古屋・栄で三十日開かれた野党共闘を呼び掛ける市民グループの集会。愛知1区の民進、共産などの立候補予定者らが参加する予定だったが、希望の党への合流を望む民進元職の吉田統彦さんは「スケジュールが変わった」と姿を見せなかった。

 「民進が残っていれば候補者の集約ができたのに」(社民関係者)と恨み節も漏れたが、共産新人の大野宙光(ひろみつ)さんは取材に「リベラル派の議員は相当数、希望の党の公認から漏れるだろう。無所属になった人と共闘を模索する余地がある」と述べた。

 とはいえ、民進が希望の党に合流を決めたことで共闘戦略が狂い、怒りや困惑の声もある。

 「何より市民との約束に対する背信行為」と鮎沢聡・共産党長野県委員会委員長。長野では昨年の参院選で野党共闘が成功し、民進候補を当選に押し上げたが、今回は「合流劇」が水を差した。「安保法制の撤回が市民と野党の共闘の原点。(安保法制に賛成する)希望の党は対象にはならない」。三重県で共闘を橋渡ししてきた「市民連合みえ」の呼び掛け人、岡歩美さんは「野党間の信頼関係が積み上げられてきたのに残念だ」と話す。

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