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突然の選挙、中部の業者も駆ける 陣営から注文次々

2017年9月29日 紙面から

 突然の衆院解散に振り回されているのは、議員たちだけではない。選挙用品を扱ったり、選挙カーをしつらえたりする業者も慌ただしく走りだしている。公示まで十日余。休む間もなく舞台裏の準備を急ぐ。

 「何せ時間がない。いきなりゴングが鳴っちゃった」と話すのは、名古屋市南区のレンタル会社「近藤産興」の近藤成章社長(83)。「何んでも貸します」がキャッチフレーズだけに、必勝だるまや紅白幕、拡声器、選挙事務所に置く長机、椅子、茶わんなど選挙用品も何でもそろう。解散方針が一斉に報じられた三連休明けの十九日以降、東海三県の選挙陣営から相次いで注文が舞い込んだ。

 半世紀にわたり選挙用品の貸し出しをしている近藤社長は「今回は解散風が吹いてから公示日までの期間があまりに短い。『よーいドン』でなく、いきなり『ドン』で走り始めた」と驚く。愛知県東海市にある会社の倉庫では、従業員が貸し出し用の椅子を磨くなど準備に追われている。

 名古屋市中区の音響設備会社「堀井スタジオ」では、ワンボックスカーにスピーカーや、候補者が天井部に乗る台座を取り付けて選挙カーに仕上げる作業が急ピッチで進む。政党や候補者から依頼を受けた計七台を公示日までに作らなければならない。来月二十二日の「名古屋まつり」で使うトラックをベースにした「山車」の注文も受ける同社。堀井俊宏社長(53)は「とにかく、いっぱいいっぱいです」。

 投票日を知らせるため官公庁の外壁などに掲げる大型の懸垂幕の製造業者も大忙し。選挙用品を製造販売する岐阜市の「テツ商会」では、安倍晋三首相が解散を表明した二十五日以降、地元の地方自治体から問い合わせの電話が鳴り続ける。

 市川小徹社長(70)は「文字の間違いは絶対に許されない。急ぎながらも慎重にやっています」と話す。

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