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肩書未定、希望と不安 「民進」ポスター使えず混乱も

2017年9月29日 紙面から

 東京都の小池百合子都知事が率いる新党「希望の党」への合流が決まった民進党。衆院解散から一夜明けた29日、立候補予定者たちは事実上の選挙戦を本格化させた。だが、民進の文字が入ったポスターは使えず、新党への合流を希望しても現時点では公認は未定。「肩書」のないまま選挙戦に突入せざるを得ず、困惑や混乱が広がる。

 岐阜県多治見市にある岐阜5区の元職阿知波吉信さんの事務所には、二十八日から張る予定だった前原誠司代表と二人の写真を並べた政党ポスターが寂しそうに積まれている。千枚作成したが、無駄になった。

 午前七時、同県中津川市のJR中津川駅前で「希望の党という新しい大きな舞台で、安倍一強に立ち向かいたい」と訴えた阿知波さん。民進と書かれた大きな看板を載せた車を見やり、「これも新しくしなきゃいけないのかな」。

 愛知3区の前職近藤昭一さんは、午前七時半ごろから名古屋市天白区の地下鉄塩釜口駅前で街頭演説を始め、「民進の前衆院議員」と名乗り党機関紙の号外を配った。「民主、民進とやってきて唐突な感じがしたが、もう一度政権交代を実現するために力を合わせなくてはいけない」と道行く人に理解を求めた。

 民進の文字が入ったポスターやはがきを既に印刷しており、刷り直すかシールを貼って対応するか検討している。「突然の解散で、慌てて準備したのに」と秘書は苦笑いする。

 新党が民進前職の選別を進めているという点に、近藤さんは「政党なのでそういうことはある。公認されるかどうかが強調されすぎているのでは」と話す。

 愛知15区で新党の公認を目指す新人関健一郎さんは愛知県田原市で事務所開き。「理念、政策が一致するのであれば喜んで頭を下げて出させてくださいと言うし、違うのであれば、それはできない」と複雑な思いだ。

 これまでも「民進党の関」ではなく「関の理念、政策を知って」と個人としての考えを訴えてきた。新党の公認を得られない場合は「無所属で出るしかない。何党というこだわりはなく、自分が目指すことをやるだけ」と述べた。

 立候補する政党を明らかにしていない三重1区の前職松田直久さんは、午前中に津市の津駅前で予定した街頭演説を中止した。突然の合流に対応できず、使う予定だった車の看板は民進のまま。松田さんは「早く街に出たいところだが、有権者に誤解を与える」と理由を話し、二十九日夜にも決断するという。

 三重4区の元職藤田大助さんは二十八日夜、三重県伊勢市で事務所開きをした。共産などとの野党共闘を呼び掛けてきた市民団体「市民連合みえ」のメンバーも出席。急な展開に「安倍政権を倒したいが、希望の党は安保政策で理念が違い、スタンスを変えてまでやるのは違う」と話し、新党から出る場合は応援できないことを明言した。

 (衆院選取材班)

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