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中部

民進急転、希望に走る

2017年9月29日 紙面から

 衆議院が解散した二十八日、野党第一党の民進党は小池百合子東京都知事が率いる新党「希望の党」への事実上の合流を決定。中部地方の民進前議員の大半も早速、希望の党からの立候補を望む意向を明らかにした。「大義なき解散」との批判もある中、衆院選は「安倍政権」対「小池新党」の様相も。与党側は、民進前議員らの動きを「節操がない」と批判しつつ、新党の勢いに警戒感を隠せない。

 「名を捨てて実を取る決断を、ぜひ皆さんに理解していただきたい」

 東京・永田町の民進党本部で開かれた両院議員総会で、前原誠司代表が訴えた。選挙戦を控えた前職たちは拍手で盛り上げたり、腕組みをして考え込んだり。政権交代を狙う勢力ができつつあることへの期待と、未知の政党に対する不安が交錯した。

 中部地方の民進前議員十九人に本紙が取材したところ、引退する二人を除き、立候補を予定している十七人の多くが希望の党の公認候補としての出馬を望んだ。

 岐阜県連代表を務める今井雅人さんは「政策を実現するには、箱にこだわっていてはいけない。政権交代できる二大政党をつくるため、塊になるのはいいこと」と合流を歓迎した。

 愛知県では三選挙区で共産が「野党共闘を進める」として候補者擁立を見送る方針だった。その一つ、愛知3区の近藤昭一さんは希望の党に公認申請を求めることを明言しながらも「政権交代のために野党共闘をしてきた。新党としてやっていくことの唐突感はある」と複雑な気持ちを吐露した。

 「(前身の)民主党時代から政策を積み重ねてきた。泣けてくるわ」と目に涙を浮かべて、前原代表の決断を受け止めたのは滋賀2区の田島一成さん。「寂しい思いもあるが、結果的に報われれば。全員一致で決めたことだから。もう、その道しかない」

 昨夏の参院選で共産などとの連携を推進した三重3区の元党代表岡田克也さんは、両院議員総会後、追いかける記者らの質問に無言を貫き、最後に「今日は無理」とだけ言い残し、足早に立ち去った。

 三重県連代表の参院議員芝博一さんは「岡田さんは無所属出馬か、希望の党か一晩考えると言っていた」と明かした。

◆衆院選「厳しい戦い」山尾さん覚悟

 既婚男性との交際疑惑で民進党を離党し、愛知7区から無所属で出馬予定の山尾志桜里さんは「質疑なく解散する安倍首相の暴挙に抗議するため」として、本会議には出席せず国会近くに待機し、テレビで衆院解散の様子を見守った。

 古巣の民進党と希望の党との合流は「与野党が一対一で戦うべきだという国民の思いに齟齬(そご)するものではない」と評価するが、自身は政党の支援を受けない選挙戦となる。「厳しい戦いは覚悟している。私を反安倍政権の受け皿として使ってほしい」と述べた。

 (衆院選取材班)

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