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中部の民進激震 希望に合流へ

2017年9月28日 紙面から

 衆院解散を翌日に控えた二十七日、民進党を巡る動きが急展開した。小池百合子東京都知事が代表を務める「希望の党」との事実上の合流を目指すとの党トップの方針に、中部地方の民進党の現職議員や支持者に激震が走った。困惑、失望、「無責任だ」との批判。衆院選に向け、民進が大きく揺れ始めた。

 「そんなばかな話、あり得ない」。長野1区の篠原孝さんは驚く。この日の報道に「前原誠司代表にそこまでの権限は与えられていないはずだ」と信じられない様子で話した。

 三重の松田直久さん(比例東海)は「前原さんの使命は党を立て直すこと。離党を容認すれば代表としてもたない。私はぶれずに民進で戦う」。だがその後、党幹部と直接話し、「民進党に残る選択肢はない。無所属か希望の党で出馬するか、どちらかだと伝えられた」と話した。

 元党代表の岡田克也さんは三重県四日市市で開いた集会で、「私が一日地元にいたことをもって安心してほしい」と、解党のような事態にはならないことを支援者に伝えた。その上で「離党に解党では信頼が得られない。オウンゴールのような動きが目立ちすぎる」と党内の動きを批判した。

 「まさか、こんな局面になるとは」。愛知12区の重徳和彦さんは展開の早さに驚きを隠さない。「非自民」「反共産」を掲げる希望の党と「方向性は一致している」と言うが、「希望の党が“第二民進党”になっては国民の理解は得られないはず」と動向を注視する構えだ。

 最大の支持母体である連合関係者も困惑する。「戸惑いと驚きしかない」と連合岐阜の高田勝之会長代行。「安倍政権を倒すという目的は否定しないが、何でもあり、というわけじゃない。政策が一致するとも思えない」と首をかしげた。

 一方で、前向きに受け止める議員もいる。伴野豊さん(比例東海)は「野党同士でつぶし合っては百年たっても自民党に勝てない。前原さんの英断だ」と興奮気味に話す。自分自身の身の振り方については「明日、前原さんの話を聞いて最終判断する」とした。

 岐阜県の今井雅人さん(比例東海)は、国会に向かう新幹線の車内で報道を知った。「党からは直接、何も聞いていない」と語る一方、希望の党との連携については「もし、そういう形になるなら望ましい。安倍政権に対抗するには、野党が一つになって闘う必要がある」と歓迎した。

◆支持者「無責任だ」

 「情けない。民主党時代に政権を担った政党とは思えない」。民進党の源流の一つ、旧民社党から長年支持してきた名古屋市中川区の無職犬飼勝さん(72)は、声を荒らげた。選挙の度に候補者の集会に人を集め、自ら応援演説するなど一貫して支持を貫いてきただけに「希望の党の小池代表は、党を渡り歩く日和見的な人。そんなところに移る議員や候補は応援したくない」と言い切った。岐阜市の党サポーターの男性(54)も「だから民進はダメだと言われて信用されない。小池人気に乗って当選したいだけのご都合主義にしか見えない」と怒りをあらわにした。

 三重県の市民団体「市民連合みえ」の呼び掛け人、岡歩美さん(26)=津市=は「立憲主義の理念を大切にする政党」として民進を後押ししてきただけに、改憲を掲げる小池氏の希望の党とは「相いれることは難しい」と戸惑う。次期衆院選でも民進候補と連携しようとしており、「地域で築き上げてきた関係が中央の混乱で崩されるとしたら残念だ」と話した。

 愛知県安城市の保育士浦田裕人さん(47)は「自民主流の政界でバランスを取ってほしい」と民進に一票を託してきたが、「最近は代表がころころ代わり、政権交代を狙える状態じゃないと不安だった」と話した。

 民主党時代から地元候補を熱心に支援してきた長野県白馬村の無職男性(82)は、前原誠司代表の対応について「敵前逃亡に等しい」と批判。十五年近く民進系議員を支持している福井市の設計士、中山純さん(51)も「党がバラバラになり、体裁が保てなくなる」と非難した。

 一方、津市の民進支持者の男性(55)は「これだけの短期間で選挙に勝つためには、手段の一つとしてやらざるを得ないのかもしれない」。支持者の中には自民一強に対抗する動きとして一定の理解を示す声もある。

 滋賀県近江八幡市の会社員山本俊夫さん(55)は「民主党に政権交代した当時の『コンクリートから人へ』といった国民目線の信念を改めて思い出してほしい」と力を込めた。

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