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反自民票奪い合いに? 「小池新党」にピリピリ

2017年9月27日 紙面から

 来月二十二日に投開票予定の衆院選に向け、中部地方の選挙区の一部では、地方主導で民進、共産などの「野党共闘」が進んでいる。だが、安倍政権に批判的な小池百合子東京都知事が二十五日に新党「希望の党」を結成し、全国規模で候補者を擁立する方針を示したことから、反自民で共闘する立候補予定者に警戒感が広がっている。

 三重県では、昨年の参院選で野党統一候補となった民進の芝博一さんが、自民候補を破った成功体験を受け、県内四選挙区のうち、1、2、4区で民進と共産の共闘の動きが進む。

 突然の「小池新党」の出現に、1区から出馬予定の民進現職、松田直久さんは「小池さんは安倍政権に批判的な発言をしており、反政権票を食い合う。影響がないとは言い切れない」。希望の党は野党共闘に消極的だが、松田さんは「協力できたらいい。戦う相手は安倍政権。小異を捨てて大同についてほしい」と秋波を送る。

 長野県も参院選で野党統一候補の民進新人が自民候補を破った。衆院選でも県内五選挙区のうち、2区と4区で民進と共産が共闘に前向きな姿勢を示す。希望の党について、民進党県連の倉田竜彦選対委員長は「まだできたばかり。政策を含め、どんな党になるのか見極める」と様子見の構え。党本部の方針決定を待っているといい、「野党共闘とは別の枠組みでの協力ができるのかどうか注視したい」と話している。

 愛知県では民進の最大の支持母体である労組組織、連合愛知が「目指すべき国家像や政策が一致しない」として共産との共闘に否定的。実際に県内十五選挙区のうち、十二選挙区で民進と共産の候補が並び立つ見通しだ。

 例外的に、共闘が進むのが愛知4区だ。日本維新の会の元職が二十五日に出馬を見送り、連合愛知が二十六日に民進現職の牧義夫さんの推薦を発表。共産は「牧さんとは安保法制や憲法改正反対で協力してきた」(石山淳一・愛知県委員会書記長)として、独自候補を立てない方針であることから唯一の野党候補になりそうだ。現時点では自民現職の工藤彰三さんと一騎打ちが予想されている。

 野党共闘の成果に、「自民対非自民の争いになり、有権者にとって分かりやすくなった」と牧さん。一方で、「一騎打ちと完全に決まったわけじゃない。まだ(希望の党から)誰か出てくるかもしれない」と慎重な口ぶりだ。実際に県内では既に希望の党の立候補者を擁立する動きがある。

 (衆院選取材班)

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