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中部

解散へ臨戦態勢 中部の議員地元入り

2017年9月25日 朝刊

 安倍晋三首相が二十五日、衆院解散を表明することになり、中部地方の現職議員も二十三、二十四日の週末に地元入りし、慌ただしく選挙準備を始めた。投開票日まで約一カ月の短期決戦に、立候補予定の新人も加わり、支持者と触れ合ったり、新しい事務所を開いたりと臨戦態勢に。「安倍一強」を崩そうと、野党共闘を求める市民団体の集会も各地で開かれた。

 「ご心配をかけました」。自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)問題や度重なる失言で防衛相を辞任した福井1区の自民、稲田朋美さんは二十三日、福井市内のイベントを訪れ、平身低頭で支援者と握手を交わした。しばしば着用してきた網タイツは封印し、黒のズボン姿。報道陣には日報問題での自身の関与には触れることはなく、「福井のおっかさんに立ち返る。困難を乗り越える肝っ玉おっかさんとして頼られる存在になりたい」と述べた。

 岩手県の台風被災地での「長靴発言」で内閣府・復興政務官を辞任した長野2区の自民、務台俊介さんは二十四日、長野県内で最も早く事務所を開設。務台さんは「本来なら事務所開きは解散後が筋。それだけ危機意識を持っている」と支援者約百人を鼓舞した。一部で区割り変更があった愛知14区。自民の今枝宗一郎さんは選挙区内の四十カ所近くを精力的に回った。解散を「びっくりした」というが、「常に選挙があると思って活動してきた」。

 小選挙区が五から四へと一つ減った三重県。各候補は区割りが変わる新選挙区で争う「未知の戦い」になる。三重1区(津、松阪市)から出馬予定の自民、田村憲久さんは旧4区の松阪が地盤。津市中心部での後援会づくりが間に合わず焦りをにじませる。一方、民進の松田直久さん(比例東海)は前の津市長。田村さんは「新しい選挙区を回ると、『なんで田村さんがいるの』と言われる」と戸惑う。陣営は急きょ、石破茂元防衛相と並んだポスター二千枚を発注して新選挙区での浸透を急ぐ。

 厳しい戦いが予想される民進党。滋賀2区の田島一成さん(比例近畿)は週末、滋賀県彦根市で琵琶湖岸の清掃活動に参加したり、支援者のあいさつ回りをしたりと動き回った。森友、加計学園の疑惑を残したままの解散を「誰もがおかしいと感じている。安倍政権は政治、行政、解散権を私物化している」と批判。「準備不足は否めないが、ピンチをチャンスに変えたい」と話した。

 愛知15区から出馬予定の新人、関健一郎さんは「北朝鮮情勢が緊迫する中で政治空白をつくる外交センスは理解に苦しむ」。岐阜3区に挑む元職の阪口直人さんは今春まで三重県で活動し、区割り変更の影響で国替えしたばかり。「こんなに早く解散とは」。少しでも露出を増やそうと、買ったばかりの自転車に拡声器をくくりつけて街中を駆け巡った。

◆「政権打倒へ野党結束を」市民団体など訴え

 野党各党の連携も動き始めており、二十四日に開かれた市民団体の集会では、「安倍政権打倒のため結束を」と野党共闘を求める声が相次いだ。

 「本当の争点は、この政権を許すかどうか。野党が一緒に協力して戦ってほしい」。昨年の参院選で野党連携を橋渡しした「市民連合みえ」が開いたイベント。呼び掛け人の岡歩美さんが、ゲストに招いた民進党三重県連代表で参院議員の芝博一さんに訴えた。

 野党統一候補として当選した芝さんは「何に対して戦うのかという共通認識が野党間に必要」と強調。「与党と野党の一対一の構図に持ち込まないと勝てない」と語った。

 三重3区の岡田克也さんも地元の同県桑名市で「自民党に漁夫の利を与えることのないよう、接戦区は一本化すべきだ」と述べ、党執行部に調整を求めた。

 共闘に向けた調整が進む愛知4区でも、市民団体が名古屋市内で集会を開催。牧義夫さん(比例東海)や共産党市議らが出席した。

 過去二回の衆院選では自民候補が当選しているが、参加者からは「憲法を改悪しようとしている安倍政権はとにかくやめさせないといけない」と、野党候補を一人に絞るよう求める声が相次いだ。牧さんは「しっかり擦り合わせをして、一緒に戦う姿を見せないといけない」と答えた。

 衆院副議長の川端達夫さんが引退を表明した滋賀1区では、大津市で「市民と政治をつなぐ@大津・高島の会」を結成。後継候補は未定だが、松尾隆司共同代表は「野党で統一候補を決めてくれると信じている」と述べた。

 (衆院選取材班)

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